約 540,529 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2662.html
※台詞のみで構成されます ※虐待分は薄めです 「やあ、れいむにまりさにおちびちゃんたち。 ゆっくりしていってね・・・」 「「ゆっくりしていってね!」」 「「「「「ゆっきゅりちていってね!」」」」」 「ゆゆっ! おにいさんはゆっくりできるひと?」 「・・・分からない」 「ゆぅ? どうしてわからないんだぜ?」 「なら、君たちは今ゆっくりしているかい?」 「あたりまえだよ! れいむたちはすごくゆっくりしてるよ!」 「そうか。 でも、私には君達の言うゆっくりが何なのか分からないんだよ」 「ゆぅ? ゆっくりはゆっくりだよ! ゆっくりりかいしてね!」 「それじゃ答えになっていないよ・・・。 そうだ、君に質問してもいいかな?」 「ゆっくりこたえるよ!」 「ありがとう。 なら、ご飯がいっぱいあればゆっくりできるかい?」 「あたりまえだぜ! とってもゆっくりできるんだぜ!」 「そうか。 なら、君の子ども達を全員殺す代わりにたくさんの食べ物をあげると言ったらゆっくり出来るかい?」 「ゆゆっ!れいむのおちびちゃんたちにひどいことしないでね!?」 「そんなつもりじゃないんだ。 もし、そう言ったらどうするか、と聞きたいだけなんだよ」 「そんなのおことわりなんだぜ! みんなでいないとゆっくりできないんだぜ!」 「でも、君たちはさっき食べ物がたくさんあればゆっくり出来ると言っていたよね?」 「ゆっ!? でも、やっぱりおちびちゃんがいないとゆっくりできないよ!」 「じゃあ、おちびちゃん達がいれば食べ物がなくてもゆっくり出来るのかい?」 「そんなわけないんだぜ! ぽんぽんがぺこぺこだとゆっくりできないんだぜ!」 「おかしいな。 食べ物がいっぱいあればゆっくり出来る。 家族がいればゆっくり出来る」 「「「「「にゃにがおかちいの?」」」」」 「だって、家族が少なければ一人当たりの取り分が増えるだろう?」 「そうだね!・・・・・・ゆゆっ!?」 「じゃあ、なんで食べ物が少なくなる原因である家族が一緒にいないとゆっくり出来ないんだ?」 「でもまりさたちはゆっくりしてるんだぜ!?」 「ああ、それは知ってる。 じゃあ、なんでゆっくり出来るんだ?」 「それは・・・」 「だって、そうだろ? ご飯がいっぱいあればゆっくり出来るんなら子どもがいないほうがもっとゆっくり出来るはずじゃないか?」 「そんなことないよ!」 「でも、食べ物がいっぱいあればゆっくり出来るんだろ?」 「あたりまえなんだぜ!」 「でも、君たちは家族がいないとゆっくり出来ない」 「あたりまえだよ!」 「なら、冬になって食べ物が少なくなっても君たちはゆっくり出来るのかい?」 「「「「「ぽんぽんがぺきょぺきょだちょゆっくちできにゃいよ!」」」」」 「でも、家族がいればゆっくり出来るんだろ?」 「「「「「しょーだよ!」」」」」 「しかし、ご飯がないと家族が死んでしまうよ?」 「そうならないようにあきになったらいっぱいごはんをあつめるんだよ!」 「そうだね。でもその間他の動物も越冬の準備をしているよね?」 「ゆぅ?それがどうしたんだぜ?」 「ご飯を集めに行っている間に子ども達が食べられてしまうかもしれない」 「「「「「ゆえーん! どうちてしょんなこちょいうにょおおおおお!?」」」」」 「だったらまりさがおうちでおちびちゃんたちをまもるんだぜ!」 「ご飯集めはどうするんだい?」 「れいむががんばるよ!」 「それじゃあ、その間れいむは全然ゆっくり出来ないじゃないか?」 「そのぶんふゆにゆっくりすればいいんだよ!」 「頑張って集まるなら苦労しないだろ? ご飯が集まらなくて子ども達を死なせたらまりさがおうちに残った意味がないじゃないか」 「ゆゆっ! ちがうよ! まりさがまもってくれないとふゆのまえにしんじゃうんだよ!」 「大体、まりさがいたところで熊や人間に襲われたらひとたまりもないじゃないだろう。 勝てると思うか?」 「それでもまりさはおちびちゃんをまもりたいんだぜ!」 「で、れいむ一人を残して死ぬのかい? それじゃれいむがゆっくり出来ないだろう?」 「ゆぐっ・・・・・・じゃあ、どうすればいいんだぜ?」 「君がおうちに残れば虫からは子どもを守れる。 でも、強い生き物と出会ったられいむを一人にさせてしまうし、ご飯も集まらない」 「ゆぅ・・・」 「君がれいむと一緒にご飯を集めに行けばご飯がたくさん集まるけど、子ども達は小さな虫に殺されるかも知れない」 「「「「「みょーわからにゃいよー!」」」」」 「それだけじゃないぞ」 「ゆゆっ! まだなにかあるの!?」 「一緒に外に行くとれみりゃに襲われたりした時に子ども達を育てるものがいなくなってしまう」 「ゆぅ・・・みつからなければいいんだぜ!」 「そうだな。 でも、れみりゃ達だって冬を越えるために必死なんだ。 そう簡単にいくと思うかい?」 「ゆ・・・それは・・・」 「だったられみりゃがはいってこれないおうちにすればいいんだぜ!」 「「「「「ゆゆっ!しゃしゅがおかーしゃん!」」」」」 「答えになっていないし、それじゃあ狭いぞ?」 「でも、あんぜんだよ!」 「だったら、どうして今お前達は広いおうちに住んでいるんだ?」 「ゆっくりできるからだぜ!」 「じゃあ、狭いおうちでゆっくり出来るのかい?」 「おちびちゃんたちがあんぜんならゆっくりできるよ!」 「だが、さっき広いおうちはゆっくり出来るといっていたじゃないか?」 「おちびちゃんたちのあんぜんがいちばんだよ!」 「それに・・・狭いおうちはそんなにも安全なのか?」 「「「「「ゆぅ?」」」」」 「もし、蛇や大ムカデが来たらどうするんだ?」 「れいむたちがやっつけるよ!」 「しかし、狭いとお前達は這いずることしかできないだろう? そもそも勝てるかも怪しいな」 「じゃあ、ひろいおうちのほうが・・・」 「広いおうちに住むとその分大きくて強い敵に襲われるぞ」 「「ゆゆっ!?」」 「じゃあ、ちょっとだけせまいおうちにするよ!」 「中途半端が一番危ない。 人間が腕を突っ込めればそれでおしまいだよ」 「「ゆーーーーーっ!?」」 「そもそも、人間が腕を突っ込めない大きさの巣じゃ親の君たちが中に入れない」 「「だっだらどほずればいいの!?」」 「分からないな。 それに、まだ問題がある」 「まだあるの!?」 「ああ。 狭いおうちだと殆ど身動きが取れないかもしれないだろう?」 「「「れーみゅたちはおきゃーしゃんがいれぇばゆっくちできりゅよ!」」」 「「まりしゃもだよ!」」 「お前達は大丈夫だろう。でも親の君たちはどうなんだい?」 「まりさたちはおちびちゃんがいればゆっくりできるんだぜ!」 「れいむもだよ!」 「そうか。でも、ずっと動かないでいると春になったときに殆ど動けないぞ?」 「「「「しょんにゃのかんけーにゃいよ!」」」」」 「いや、関係あるんだ。 春になったときにどうやって餌を集める?どうやってれみりゃから逃げる?」 「ゆ、ゆっくりがんばるよ!」 「頑張ってどうにかなるなら苦労しない」 「ゆゆっ!でも、おちびちゃんがぶじならそれでじゅうぶんだぜ!」 「お前はそうかもしれないが、子ども達は悲しい思いをするぞ? 餌集めだって自分でしなきゃならなくなる」 「「「「「おきゃーしゃんがいにゃいとゆっくちできにゃいよ!」」」」」 「分かるだろう?こいつらはお前達がいないとゆっくり出来ないんだ」 「ゆぅ・・・なられいむたちがんばってゆっくりするよ!」 「どうやればゆっくり出来るんだ?」 「がんばっておちびちゃんたちをゆっくりさせてあげるんだよ!」 「頑張る、じゃあどうにもならないって言ってるだろう?」 「じゃあ、ひろいおうちでふゆのあいだゆっくりするよ!」 「広いおうちだと人間に襲われるぞ?」 「じゃ、じゃあせまいおうちでゆっくりするんだぜ!」 「運動能力が低下して春先にゆっくり出来なくなるぞ?」 「「ゆううううううううううううう!?」」 「それに・・・・・」 「「まだあるのおおおおおおおおお!?」」 「どんなに頑張っても子ども達を守れなかったらどうするんだ?」 「ゆゆっ!? がんばってまもるよ!」 「頑張って守ろうとしたせいで全員が死ぬことになるかもしれないんだぞ?」 「「「「「ゆゆっ!?」」」」」 「それなら1匹2匹は諦めて逃げたほうがゆっくり出来るんじゃないか?」 「ゆぅ・・・でもぉ・・・」 「それだって問題がある。 君たちは家族全員一緒じゃないとゆっくり出来ないんだよな?」 「そうだよ! みんななかよしさんなんだよ!」 「じゃあ、1匹でも死んだらゆっくり出来なくなるんじゃないか?」 「ゆ゛ぐっ!?」 「でも、下手に守れば全員が死んでしまう。 君たちは子ども達が死んでも平気かい?」 「ぞんなわげないでぢょおおおおおおお!?」 「じゃあ、守れない子は見捨てて逃げるのかい? 大事な家族なのに」 「ゆぎぃ・・・!?」 「子ども達だっていつかあっさり捨てられるかもしれないのにゆっくり出来るのかい?」 「「「「「ゆゆっ!?」」」」」 「お、おかしいんだぜ・・・なにをしてもゆっくりできないんだぜ!?」 「そうだろう。 だから私は分からないと言っているんだ・・・」 「ゆ、ゆっくりって・・・なんなんだぜ?」 「それも分からない。子どもを守る苦しみを味わうくらいなら子どもなんて居ない方が良いのかもしれない」 「そ、そんなわげない・・・よっ!?」 「「「「「しょーだよ!へんにゃこちょいわにゃいでね!?」」」」」 「しかし、子どもが居なければ子どもに関係するゆっくり出来ないことが解消するぞ?」 「で、でも・・・おちびちゃんたちといるとゆっくりできるんだぜ?」 「そうか。 でも、ゆっくりできるもののためにゆっくり出来ないなんておかしいと思わないか?」 「ゆ・・・ゆゆ・・・ゆっくりってなんなんだぜ!?」 「分からない。 分からない・・・。 家族といるとゆっくり出来るが、家族のためにゆっくり出来ない。 広いおうちは危なくて、狭いおうちは動けない」 「やべでよ! もうぎぎだぐないよ! ゆっぐぢでぎないよ!?」 「子どもを見捨てるとゆっくり出来ないけど、助けようとするとゆっくりさせてあげられない。子どもがいるからゆっくり出来る。 でもいるからこその悩みでゆっくり出来ない」 「「「「「やめちぇえええええええええええええ!」」」」」 「分からない・・・私には君達にとってのゆっくりが何なのか全く分からないんだ・・・」 「まりさも・・・わからないんだぜ・・・。 ゆっくりって・・・いったいなんなんだぜーーーーっ!!?」 ‐‐‐あとがき‐‐‐ 俺は寧ろこのお兄さんに何があったのかを知りたいよ byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4327.html
「ゆっ!ゆゆっ!?ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていっ・・・なんじだとおもってるの!?ばかなの!?」 「ばかなんだぜぇぇぇ!」 「わかるよぉぉぉ!ばかなんだねぇぇぇぇ!」 「ばきゃなのぉぉぉ?」 早朝3時、俺の朝は早い。 ここは人間の里から少し山を登ったところにあるゆっくりの群れ、 寝ぼけたゆっくりが早漏なゆっくりを披露したそばから 罵声を浴びせられるという微笑ましい光景をよそに 人間はゆっくり達に気づかれないよう静かに歩みを進めていた。 先日下見に行って目印をつけておいた巣には ゆっくりまりさと目的のゆっくりれいむがアホ面で「ゆぴぴ」と寝息を立てている。 人間はその頭から茎を生やした身重のれいむをそっと胸に抱く 「ゆぅゆぅ・・・おちびちゃん・・・それはうんうんだよ・・・ゆっくりできないよ・・・」 これから始まる新生活への期待と不安がれいむの寝言からも伺える。 「れいむはお母さんになるのだな」 人間はそう呟き、はにかむとれいむを起こさないよう注意深く巣を後にした。 一人残されたまりさ、仰向けで大口を開けて幸せそうな顔をしている。 暫くはもうそんな幸せな顔はできないだろう。今だけはゆっくりしていってね。 たどり着いた先は人間の里、ゴミ捨て場の横に聳え立つ電柱である。 時は一刻を争う。失敗は許されない。 人間はれいむを空中へ放り投げ、素早く壁を蹴り塀の上へ!そこから電柱へ飛び移り足場に足を絡める。 落ちてくるれいむをキャッチ!反動は膝のクッションで限りなく0へ! 起こしてしまえば全てか水泡に帰する。 人間はれいむを頭の上に乗せ、バランスを取りながら細心の注意を払い、電柱を昇って行く 揺れるれいむと頭から生えた茎、老朽化した電柱の足場はグラグラと揺れ、引っ張れば容易く抜けてしまいそうだ。 まだだ、落ちるのは事を成してから・・・!人間は一時間かけて電柱の頂上まで上り詰めた。 「・・・ゆっくりしていってね」 起こさないよう小さく呟くと電柱の頂上にそっとれいむを置いた。人間はそのまま足場から飛び 知らない人ん家の屋根に転がり落ち、瓦を撒き散らしながら下水に落ちてアバラが三本逝った。 「ゆっ!ゆゆ!ゆっくり起き・・・・どごな゛の゛ごご!!」 カラスの泣き声でゆっくりと目を覚ましたれいむは開口一番、誰もがこうなったら確実に言うだろう台詞を絶叫した。 どういうことなのか?自分は森の巣の中でゆっくりと眠りについた筈である。 確かにれいむは昔、親れいむに「おちびちゃんは寝相がわるいね!でもそんなところもゆっくりできるよ!」 等と言われた事がある。甘やかされて育てられた結果がこれだよ!寝相が悪いにも程があるでしょう? 「お゛っ!お゛がぁぁざぁぁん゛!」 思わず母の名を叫ぶれいむ、360度広がるパノラマワイドな光景に気が遠くなる。 まるで地面がれいむを呼んでいるかのように、体がゆらゆらと揺れる。吸い込まれる。 「じめんさん・・・!れいむをよばないでね!ゆっくりむこうへいってね!そしてみえないところでしんでね!」 誰も居ない地面に向かい呪いの言葉を吐くれいむ、カラスが「俺!?」みたいな顔をして鳴いたりしている。 そうだ、こんな時こそゆっくりだ!と「ゆっくり、ゆっくり」等と連呼して無理やり笑顔を作ってみるが 汗が滲み、涎は垂れ、目はキョロキョロと忙しなく動く、全然ゆっくりできない。できるわけがない。 「ゅ・・・」 そんな時、声が聞こえる。声の主はれいむの頭の上から伸びた茎からである。 「おちびちゃん!おちびちゃんの声がゆっくりきこえるよ!はやくおかあさんとゆっくりし・・・・」 無理である。器用にグルグルとその場を周り足場を探すが5回程回ったところで 電柱の上はれいむ一匹で定員オーバーである事に気が付いた。 いや、待て待て、もう少し回れば足場さんがゆっくり足場を増やしてくれるかもしれない。 もう少し回っ・・・ゆっくり!ゆっくり!落ち着け平常心 「ゆげぇ!?おちびちゃん!うまれないでね!まだまだそこでゆっくりしていってねっ!」 汗を垂れ流しながら茎の赤ゆっくりに笑顔でゆっくりだよ!ゆっくりだよ!と語りかけるれいむ。 茎から垂れ下がって目を閉じ笑顔を浮かべている赤れいむ3匹と赤まりさ2匹が若干いぶかしげな表情になった。 既に赤ゆっくり達には自我が目覚めていた。 茎から伝わってくる親れいむの喜怒哀楽の感情を感じることもできたし 隣にいる姉妹と簡単な意思の疎通も可能であった。 (おかちいね)・・・(産まれてこないでっていってるよ)・・・(なにやらゆっくりちてないね)・・・(おなきゃすいた) (ゆっくち待とうか?)・・・(れいみゅはとっとと産まれたいよ)・・・(おなきゃがすいたよ) (まりさが産まれればおきゃあさんはおのずとゆっくりできるのじぇ)・・・ (言うとおりゆっくり待つべきだよ)・・・(そんなことよりおうどんたべたい) (さっきからばきゃがひとりまじってるよ)・・・(ばきゃはだまっててね)・・・(ゆぎぃ!) (けんかはやめちぇね、おねぇちゃんがゆっくち産まれてみてくるよ)・・・ (おねぇちゃん!)・・・(ゆっくりきをつけちぇね)・・・(おうどんたべたい)・・・(ばきゃはだまっててね)(ゆぎぃ!) 先端の赤れいむがムズムズと動きはじめる。もみあげをピコピコと動かして茎から落ちようとしている。 それを見て目が飛び出さんばかりに焦る親れいむ 「どぼじでう゛ま゛れ゛でぐる゛の゛ぉぉぉ!?ゆ゛っぐり゛!ゆ゛っぐり゛だよ゛ぉぉぉ! 無駄だと分かっていても右に左にグルグルとその場を回り赤ゆっくりの着地ポイントを探す親れいむ、 そうこうしている内に長女赤れいむと繋がっていた茎は切れ、落下した。 産まれた喜びとこれから始まるゆっくり新生活に期待を膨らませ、それを全身で表現 「ゆっく」 ・・・・する間も無くどんどん親れいむと離れていく長女赤れいむ。地面さん遠すぎるでしょ? 一瞬見えた親れいむの顔はなにやらブサ・・・ゆっくりしていなかったような・・・?あれ・・・?にゃにこれ・・・? 眼下に広がる光景を見てゆっくりとした長女赤れいむの餡子脳にもようやく状況が飲み込めたらしく ホロリと一筋の涙をこぼし、残されたわずかな時間だけでもゆっくりしようと笑顔を作る。 「ちうまれちゃかったよ」 パチンと乾いた音を響かせ、地面の染みになった。 いつまで経っても聞こえてこない長女赤れいむの産声に茎の赤ゆっくりたちは不安を募らせていた。 (おねえちゃんゆっくりしすぎだよ)・・・(はやく声をききゃせてね)・・・(おそすぎりゅよ) (おそとはゆっくりできなかったんだよ)・・・(まりさはここでゆっくりちていくのじぇ)・・・(ゆっくりゆっくり) (はやくだれきゃ様子をみにいってね)・・・(かってなこといわないでね)・・・(うんうんするよ!)・・・(産まれてからにしてね) 茎から伝わってくる親れいむの焦りの感情、産声を上げない長女赤れいむ・・・ その二つの情報から導き出される答えは明白であった。産まれたらゆっくりできない。 誰ひとり長女赤れいむの後を追うものは名乗りをあげなかった。しかしここにはずっと居られないのもまた明白である。 自分の意思で茎を切らずとも、時が来れば自然に茎は切れる。それは時間の問題であった。 そして長女赤れいむが居なくなった為に一番先端になった赤まりさの茎がムズムズと動きはじめる。 (ゆんやぁぁ!まりさがうばれるのじぇ!?)・・・(おねえちゃんゆっくりしようね)・・・(ゆっくりいかないでね) (とっとといって様子をみてきちぇにぇ)・・・(しょんなこといわないでね)・・・(あすはわがみなんだじぇ) 次女赤まりさの茎が切れ、落下を始める。しかし親れいむは見ていた。 充血しきった目、瞬きもせずその時を待っていた。勝算はあった。舌を伸ばして絡め取る! 「ゆっくりうまれたかったのじぇ」 長女赤れいむと同じ台詞を呟き、奈落へ消えていく次女赤まりさ その2秒後、次女赤まりさが通った軌道に舌がビローンと伸びる。 「ゆっぐり゛ま゛に゛あ゛ま゛ぜん゛でじだ!!」 あまりにもゆっくりしすぎた反射神経、希望が滑り落ちてゆく、 成すすべも無くブサイクな顔で地面を覗き込む親れいむ。 「ゆゆっ!?」 潰れた餡子の跡はひとつ、長女赤れいむの物しか無い。 おかしい、今落ちた次女赤まりさの残骸が見当たらないのだ。 奇跡的に何処かに引っかかったのかと思い、身を乗り出し電柱の周りを見渡す親れいむ。 「ゆゆゆゆゆゆっ!・・・まるでおそらを・・・どん゛でる゛!め゛っ゛ぢゃ゛!どん゛でる゛!」 何故か上空から聞こえる次女赤まりさの叫び声、そして声を辿ると、羽ばたくカラスのくちばしの先っぽ そう、落ちる次女赤まりさをカラスが拾ったのである。 「ゆぅぅん!ありがちょぉぉ!まっくろふわふわさん!まりちゃをおきゃしゃんのところにおろすのじぇ!」 「カラスさん!おちびちゃんをゆっくりこっちに連れてきてね!」 そんなゆっくり達の呼びかけにカラスが答えるわけもなく地面に着地し、次女赤まりさを吐き捨てた。 「ゆべっ!ちがうのじぇ!おきゃーしゃんはあっちなのじぇぇぇぇ!ばきゃ!くろふわばきゃ!」 カラスに体当たりをする次女赤まりさ、カラスはそれを華麗にスルーし、 次女赤まりさの着地のタイミングにあわせてクチバシを振り下ろした。 「ちゃっちゃとまりさをちゅれてっ・・・・ぴゅぺ!?」 帽子を貫通し、脳天に大きな穴が開いた次女赤まりさ、まだ自分に何が起こったのかわからずキョトンとしている。 親れいむが電柱の上からボタボタと涙をこぼしている。 「ガラズざん゛!!やべでね!まりざはゆっぐりじだおぢびぢゃんだよ!!」 「なんきゃきゅうにきゃらだがおもくなっちゃのじぇ」 突然体がだるくなったのでお母さんの所へ行くのは少し休んでからにしようと思い よろよろと電柱の根元へ移動しようとする次女赤まりさ、そこに再びクチバシが振り落とされる 「ゆっくちやす・・・むべっ!・・・ばひゅ!・・・ゆっくっ!・・・にげっ!・・・わびゅ!」 数回クチバシに突き刺されグシャグシャになったところで 自分の始まったばかりの人生が早くも終わりを告げようとしている事に気がつく次女赤まりさ 「きゃわいい・・・まりちゃ・・・を・・・ゆっく・・・ち・・・ちゃ・・・ちぇ」 カラスは次女赤まりさをすくい上げるとゆっくりと租借した。 クチバシの隙間から時折見える次女赤まりさは徐々にミンチになっていった。 「ゆ゛っ・・・・ぐ・・・・ち」 帽子はもはや原型と留めず、髪は所々引きちぎれ、右目は大きく露出し、歯は殆どが欠けていた。 つい数秒前までの愛くるしい顔の面影はもはや無く、苦悶の形相を浮かべている。 カラスは租借をやめると上を向き、次女赤まりさを飲み込もうとクチバシと喉を小刻みに動かした。 「ゅ゛・・・ゅ゛・・・ゅ゛・・・」 ゆっくりとカラスの胃袋に収まる次女赤まりさ、カラスは次の獲物を求め飛び去っていった。 「どぼじでごん゛な゛ごどにぃぃ!」 涙を滲ませる親れいむ、しかしグッとそれを堪える。 ダメだ、泣いてる場合ではない、 死んでいったおちびちゃん達の為にも残りのおちびちゃん達を絶対に下に落としてはいけない。 どうすればいい?どうすれば・・・?ゆっくり、ゆっくり 焦れば焦るほど思考は空回りし、考えはまとまらない、万策尽きて天を仰ぐ親れいむ そこにはそんなゆっくり達の心情とは裏腹にゆっくりしているお日様さん、 それに凍った笑顔でゆらゆらと揺れる赤ゆっくり達・・・ 「お、おちびちゃん!」 今、気が付きました。 上を向く事により茎はしなり、赤ゆっくり達は親れいむの眼前に位置を変える。 こうすれば後は先程のように落ちて急に視界に入ってくる赤ゆっくりを ゆっくりとした舌でキャッチ等という無謀な賭けには出なくて済む。 上を向いてアホ面で舌を出していれば勝手に赤ゆっくりは舌に着地するのだ。 しかしこの体勢、顔だけのゆっくりには相当キツい、 人間で言えば直立姿勢から首を動かさず、腰を逆に曲げて天井を見続けているようなものだ。 「ゆ゛っく゛り゛し゛な゛い゛でうばれ゛でね゛!」 長女赤れいむに続き、次女赤まりさの産声も聞こえない。 茎から伝わってくる親れいむの焦りの感情は先程から変わらない。 にもかかわらず、今度は早く産まれろと言っている。 (おかちいね)・・・(産まれてもだいじょうぶ?)・・・(だれかいってきてね) (れいむはここでゆっくりするよ)・・・(ゆっくり産まれてもおきゃあしゃんはよろこぶよ) (おかあさんのいうことはきこうね、れいむはうまれるよ)・・・(おぉ、早計早計) (もうすこしだけゆっくりするよ)・・・(ゆっくりしようね)・・・(ゆっくりゆっくり) 疑心暗鬼に陥った赤ゆっくり達をなだめてすかして4時間半 実にゆっくりと粘った赤ゆっくりたち3匹は親れいむの舌の上に産まれ落ちた。 最後まで必死の形相で産まれまいと粘っていた末っ子赤まりさが、親れいむの舌の上にふにゅん!と降り立った。 「んんっ!・・・!ゆっくちうまれちゃよ!」 無事産まれた事を心から喜び、瞳をキラキラと輝かせ満面の笑みを浮かべる末っ子赤まりさ フルフルと体を震わせてかわいさアピールタイムがはじまる。 「ころころするまりちゃをみちぇちぇね!おきゃーしゃん!ゆっくりころが・・・・ゆげぇ!たけぇ!ここめっちゃたけぇ!?」 天使のような笑顔で舌の上を転がりかわいさをアピールしようとしたが 半回転もしない内に自分が今居るところに気が付いてオッサンのような顔になる末っ子赤まりさ。 他の姉妹たちもありえないゆっくりプレイスの場所に怯え身を寄せ合ってプルプルと震えている。 「おきゃーしゃん、ここはゆっくちできないよ、じめんさんにいこうね!」 「れいむはもっちょ、ひくいところがいいよー」 「これなんてぷれいなの?たかすぎるでちょ」 みゅーみゅーとそれぞれに遠まわしにさっさと低いところに連れて行けよこのバカ、と主張する赤ゆっくり達 困った顔で舌を限界まで伸ばして小刻みに震えている親れいむ 「れいむにもわからないんだよ、それよりおちびちゃんたちは早くれいむの頭の上にゆっくり移動してね!」 いつまでも舌の上に乗っていると、親れいむの唾液によって赤ゆっくり達は溶けてしまうだろう。 何だか頼りない親れいむの言葉に不安を募らせながら次々に親れいむの頭の上に移動する姉妹 舌の上よりも若干高い上に360度に広がる絶景に赤ゆっくり達は思い思いの面白い顔になる。 「ぴっぴみゅぅ!ゆっくちできないよぅ!」 「れいみゅはもっちょ、ひくいところがいいのぉぉぉ!」 「まりさはおにゃかがちゅいたよ!ゆっくちしないでごひゃんにちてね!」 ゆっくりの中では身体能力の高いまりさ種だからだろうか? 末っ子の赤まりさだけが、早々に高所に適応し、ごはんを求めだした。 他の姉妹も恐怖が優先され忘れていたが、まりさの言葉で産まれてから何も食べていない事に気が付く。 「おきゃーしゃん!おにゃかちゅいたよぅ!」 「ゆぴゅぅ!ごひゃんたべたゃいの!」 「ゆっくちちにゃいでごはんをちょうらいね!」 「ご、ごはん・・・でもこんな所にごはんなんて・・・ゆゆっ!そうだよ!」 親れいむは群れのゆっくりが出産した後、残った茎を食べさせていたのを思い出した。 「これがおちびちゃん達の一番最初のごはんだよ!お姉ちゃんから茎の先っぽさんへ行ってゆっくり食べてね!」 この状況では自分で茎を折り、与えることはできない かと言って根元から赤ゆっくり達が勝手に噛り付けば茎は食べる部分を大量に残したまま地面に落下してしまう。 それを防ぐ為に茎の先っぽから一人ずつ順番に食べる事を提案した。 「ゆっ!ゆぴぃ!茎さんの先へいくにょ!?・・・ゆゆゆ・・・!ゆっくちがんばるよ!」 三女赤れいむが動揺しながらも茎を渡っていく、 柳の木のような形状をした茎は普通の体勢では下り坂になり、赤ゆっくりが伝っていくにはとても危険である。 そこで親れいむは赤ゆっくり達を落とさないように注意しながらゆっくりと体勢を仰向けに変えた。 頭の上から移動し、横になった親れいむの顔面に乗る形になる赤ゆっくり達、 これで茎の先っぽは上の方へ向き、下りよりも若干安全であろう。 「ゆぅーせ!ゆぅーせ!ゆぅぅぅ!たきゃいよぅぅ!ゆっくちちたいよぅ!」 「ゆっ!ゆがっ!おちびちゃん!急いでゆっくり食べてね!」 背中に電柱が食い込み、地味に苦しむれいむ。 一方、必死に茎を伝う三女赤れいむ、細い茎の下には凄まじい光景が広がっている。 涙をポロポロとこぼし、落下の恐怖に怯えながらようやく先端にたどり着き、茎に噛り付く 「むーちゃ!むーちゃ!ゆぐっ!むちゃ!むちゃ!はふっ!はむっ!」 目をギュッと閉じ、ゆっくりにあるまじき早食いの後、 膨れたお腹を茎に押し付け嗚咽を漏らし、尻から親れいむの元に戻る三女赤れいむ。 よく租借しなかった為、ゆぷっ!ゆぷっ!と苦しそうにしている。 「・・・ゆっくちごちしょうしゃまでちた」 お通夜のような顔で親れいむに感謝の言葉を伝える三女赤れいむ、 そんな有様の三女赤れいむと茎を交互に見ながら四女赤れいむはひとり静かにしーしーを漏らした。 「がんばってね!おちびちゃん!食べないとゆっくりできなくなるよ!」 「はやくちてね!きゃわいいまりちゃはおにゃかぺこぺこだよ!」 「ゆべっ!おちびちゃん!そこで跳ねないでね!そこはお母さんの眼球だよ!」 親れいむのまぶたの上でぼいんぼいん!跳ねる末っ子赤まりさ、 そして顔面蒼白で満面の笑みを浮かべる親れいむ。めり込んだ電柱が薄っすらと顔に浮んでいる。 産まれてから何も食べていない赤ゆっくりはすぐに衰弱して茎に登る体力すら無くなってしまうだろう。 面白い姿勢を続けている親れいむの限界も近い。何気に一刻の猶予も無かった。 そして末っ子赤まりさは3匹のれいむ気持ちなどお構い無しにその場で飛び跳ね。四女赤れいむを急かす。 「ゆっ!ゆぐっ!ゆぐり!い゛できまちゅ!」 ヨロヨロと茎に乗り先っぽ目指して進む四女赤れいむ、三女が食べた分だけゴールは近いのだが 恐怖のあまりなめくじが這うよりそのスピードは遅く、目も虚ろで今にも落ちてしまいそうだった。 「ゆっ・・・ゆぅゆぅ・・・ゆぅー・・・せ・・・!ゆぅ・・・きょ・・・きょわいょぉぉぉ」 「ゆっ!おちびちゃん!無理しないでね!もうそこでいいからゆっくり食べて戻ってきてね!」 四女れいむの限界を察知した親れいむは茎の多少の損失は仕方なし、と食べるように促した。 「ごっ!ごべんなちゃい・・・!れいみゅはここでゆっくちたべるにぇ!」 もそもそと茎に噛り付く四女れいむ、初めて口にする食べ物の味、それが四女れいむの心を少しだけ落ち着かせた。 口の中に広がる甘さとほんの少しのすっぱさ、おいしい、しあわせ、ぽかぽかとした気分、そうか、これがゆっくりなのか 「むーちゃ・・・むーちゃ・・・しっ・・・しあわせー♪」 顔を綻ばせ産まれてはじめてのゆっくりに酔いしれる四女れいむ、 高くて辛くて苦しくて悲しかったけどこの気持ち・・・ゆっくりがあれば生きていける・・・! きっとこうやって日々ゆっくりを感じてれいむは生きていくのだろう。そう思った。叫ぼう、もう一度叫ぼう。 「しあわせぇー!」 「ちやわちぇー!」 後ろから四女れいむに負けじと劣らない幸せそうな声が聞こえる。 末っ子赤まりさの声だ。れいむの幸せそうな声を聞いてつられて幸せになってしまったんだろう。 この子はどこか他人を思いやらないゆっくりできない子だと思っていたがどうやらそれは間違・・・ 「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛な゛に゛じでる゛の゛お゛ぢびぢゃ゛ん゛!!」 「やめちぇね!ゆっくちたべるのをやめちぇねぇぇぇ!」 末っ子まりさは茎の根元に、はむっはふっはふっと噛り付いていた。 それを号泣しながら親れいむと三女れいむが見ている。 「ゆ・・・ゆゆ・・・ん?」 ふわっと体が軽くなる四女れいむ。足場が沈んでいく。 あぁ、まりさが食べたから茎さんが折れちゃったんだね・・・ゆっくちしないで理解したよ、 まりさはお腹が減ってたんだね。れいむがゆっくり待たせすぎたね。仕方ないよ。ゆんゆん。仕方ないよぅ。 「ぞん゛な゛わ゛げな゛い゛でち゛ょう゛!!」 クワッと形相を浮かべ叫ぶ四女れいむ、このばきゃは何故お母さんの言いつけを守らないでこんな事をするの? 馬鹿なの?死ぬの?ゆんゆん、このままだと死ぬのはれいむなんだね。絶対に許さないよ、このゲスまりさ 死ね!ゆっくり死ね!いや、このままだと死ぬのはれいむ、死にたくない、産まれてまだ何分? もっとゆっくりしたい、もっと、もっとゆっ 「ゆっくりしていってね!!!」 咄嗟に絶叫する四女れいむ、死に直面し様々な思いが交錯し紆余曲折、色々巡って出た言葉がこれだった。 「「「ゆっくりしていってね!」」」 思わず返答する3匹、全員もれなく満面の笑顔だった。 折れた茎と共に奈落へ消える四女れいむ、その直後、パチン!という乾いた音が鳴り響いた。 「ゆあああああ!おちびちゃんが!おちびちゃんがぁぁぁ!」 「ばきゃぁぁ!まりさのばきゃあああ!」 親れいむはおでこ方向に涙を流しながら叫んだ。 長時間のうつ伏せで餡子が頭によってしまい酷くブッサイクだ。 三女れいむは、落下の危険も顧みずまりさに体当たりを仕掛けようとにじり寄る。 末っ子赤まりさはクッチャクッチャと茎を噛み締めて「ちやわちぇー」と目を輝かせている。 「まりさはずっとまっちぇたんだよ!ゆっくりあやまるのはそっちにょほうだよ!ぴゅんぴゅん!」 ぷくぅ!と膨れ上がる末っ子まりさ 「ゆぴぃ!」 一番弱いはずの末っ子まりさが突如バンプアップし屈強な姿になった事に驚き ころんと尻餅をつく三女れいむ、ゆわわ、ゆわわと歯を鳴らし怯えている。 「やめてね!おちびちゃんを苛めないでね!おちびちゃん!」 頭の上で争う二匹をなだめる親れいむ。全ては自分の不注意のせいだ。 寝ている間にゆっくりこんな所に移動してしまい沢山の子供を失ってしまった。 こんな場所じゃなければゆっくりと教育できたのだ。末っ子赤まりさは悪い事をしたが それが悪い事と知らなかったのだ。ゆっくりと許し、ゆっくりと教育をすればいいのである。 それが死んだ四女れいむへのたむけにもなるだろう。 「喧嘩はやめてね!仲良くしようね!これからゆっくりと二人を教育するからね!ゆっくりしようね!」 目に涙を一杯に貯め、叫ぶ親れいむ。 その姿は子供に言っているというよりも自分に言い聞かせているようだった。 「ゆ・・・ゆゆぅ・・・!」 「うるちゃいよ!はやきゅかわりをもっちぇきてにぇ!」 従順な三女れいむは末っ子まりさを睨み付けながらもそれに従った。 決してまりさを許したわけではないが、喧嘩をしかけるような事はもうしないであろう。 そんな思いもしらずに末っ子赤まりさは限界まで食べれなかった事が不満らしく 親れいむの顔面に体を何度も叩きつけている。 そこへさっきとは別のカラスが親れいむの顔面の上にとまった。狭い、狭すぎる 途端に「ゆげぇ!?」と死にそうな顔になる赤ゆっくり達、親れいむも突然の来訪者に顔を強張らせる。 「ゆ、ゆっくりしていってね!」 「カァー」 「ゆっくりできないなら出て行ってね!」 「カァー」 「ゆっくり死ね!」 双眼鏡を下ろした男は口に手を添え、叫んだ 「ゆっくりと生き延びてね!れいむ!」 「喋らないでくださいね。肋骨が肺に刺さってますから死にますよ。」 「い゛だいいぃぃ!ちぇんちぇえぇぇ!お゛に゛い゛ざん゛をだすげでねぇぇ!」 担架で運ばれていく男、ゆっくりを危険な場所へ放置しその生き様をウオッチングすることに 人生をかけている男、男にとって今回のような怪我は日常茶飯事であった。 おしまい 前回書いた「ゆっくり見せしめ」で、予期せぬ設定スルーと 物理的に不可能な動作と不自然なくらい価値の安い蜂蜜があったことを深くお詫び申し上げま・・・ゆ゛っ!? このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1872.html
※使い古されたテンプレを用いています。 「ゆっくりしていってね!」 家に帰ると下膨れの生首がいた。黒い帽子をかぶり、金色の髪をした全長が三十センチほどのそれは跳ねながら私の方 へと寄ってきた。生首が跳ねながら寄ってくるのは出来の悪いホラー映画のようで、滑稽でもあり恐ろしくもあった。 「おにいさんはゆっくりできるひと?まりさはおなかがすいたよ。ゆっくりごはんをよういしてね!」 生首が何かを言っていたが、私はドアを閉めてその場を立ち去った。 「そりゃゆっくりだな。間違いない。」 友人は私が持参した安い酒を注ぎながら自信ありげに言った。あの後私は謎の生命体がいる部屋に入る気になれず に友人宅を訪れた。 「知っているのかい。」 「今の時代にまだ知らない奴がいる方が驚きだ。新聞でもゆっくりの被害について散々取り上げている。ほら。」 渡された新聞には確かに生首らしき生き物の写真が載っていた。悪夢は現実だということに戸惑う私をあざ笑うかのよう に彼は続けた。 「ゆっくりというのはなぜか生きている饅頭だ。見た目は人の生首だが中身は餡子が詰まっていて、 人間の言葉を話す。時々食料や住処を求めて人里に出没するそうだ。新聞も読んでいないようだし、 お前もゆっくり対策をしていないんだろう。」 「どうすればいいと思う。」 「普通の人なら踏み潰して黙らせてからゴミに出すな。」 あっけらかんと友人は言った。確かにセイブツではなくナマモノであるならばそれは正しい判断だろう。説明が本当である ならば外から入ってきたそれらは落ちた饅頭に等しい。食べようと思えば食べれるだろうが、無理して食べるほどのものでも ない。でもあれを踏み潰すとなると気が引ける。口をふさいでもゴミ捨て場で暴れられては困る。殺すのは別にかまわない が衛生的で安全なゴミへの出し方はないだろうか。 私の考えがゆっくりの殺害方法へシフトしていったとき、再び友人が喋り出した。 「そういえばゆっくり処理機でもう使わないのがあったな。お前にやるよ。」 友人は手にしたお猪口に酒を注いだ。口元が邪悪に歪んでいる。おそらく、笑っているのだろう。正直、彼の こんな表情を見たのは初めてだった。 「………サンキュ。持つべきものは友達だな。」 友人からゆっくり処理機を受け取った後、家路をたどりながら思った。あれはお猪口ではなく口を針金で固定された ゆっくりだったと。今頃あれはアルコールで混濁した意識の中彼に何をされているのだろうか。 家の戸を開ける。 「ここはまりさのおうちだよ!しらないおにいさんはゆっくりでていってね!」 やはり夢ではなかった。部屋の中には生首の饅頭がいた。最初は不気味に思えた生首も今となっては処分に手間の かかるゴミとしか思えない。 「ここでゆっくりするならたべるものをもってきてね!まりさはかんだいだけどゆっくりしてたらおこるよ!」 無視して部屋の中を調べる。本棚から本がこぼれていたりゴミ箱が倒されたりしていたので、片づけておく。 「おそうじしてくれているんだね。でもはやくたべるものをもってきてね!そうしたらまりさのめしつかいにしてあげるよ! こうえいにおもってね!」 元々物が少ないせいかゆっくりの被害はあまりなかった。ゆっくりの届くところには缶詰しかなかったため、食料も 無事だった。窓から逃がしてもよかったが、他の人に迷惑をかけたらいい気分はしないのでここで処分することにする。 友人からもらったゆっくり処理機は透明な箱だった。ただし、上の面だけは鉄でできており、ハンドルの付いたネジが 飛び出している。使い方は一目見て理解した。 ゆっくりを捕まえて箱の中に入れる。 「ゆ?せまいよ!ここじゃゆっくりできないよ!はやくだしてね!」 ゆっくりがわめく。五月蠅い。私はハンドルを回していく。天板がゆっくりと降りてくる。 「はやくだしてっていってるでしょ?わかんないの?ばかなの?」 まだ自分の立場が分かっていない。はやる気持ちを抑えながらゆっくりとハンドルを回す。 「ゆっ?おかしいよ?てんじょうがおちてくるよ!ゆっくりさせてね!ここからだしてね!」 やっと気づいたようだ。大丈夫、すぐに殺したりはしないよ。そこで好きなだけゆっくりさせてあげるよ。死ぬまで。 心臓の鼓動が高ぶり、熱い血が体中を巡っていることが分かる。 「ゆぐーっ!ゆぐーっ!」 体を膨らませて必死で抵抗している。どれだけ膨らんでも押し返せるわけないのに。ああ、なんて可愛いんだ。 「うううぅぅぐるじいいいいぃぃだずげでぇぇ」 だんだんとゆっくりの形が歪んでいく。箱を倒して表情を見る。ゆっくりは涙を流しながら助けを求めるような眼をしていた。 ところどころ皮が裂けて、中身の餡子が見えている。そんな眼で見るなよ。もっと苦しめたくなっちゃうだろ。 「いばならゆぐじであげるよ………ゆっぐじだずげでね………」 この状況で助かると思っているんだ。あっけなくちゃつまらないからね。ゆっくり、ゆっくりといじめてあげるよ。 私はゆっくりを放置して戸棚へ向かうと、マッチを手に戻ってきた。 「ぐひゅー………ぐひゅー………」 もはや息も絶え絶えといったところだ。私は火をつけたマッチをゆっくりを潰している鉄板の上に落した。 「ぐぎいいいぃぃぃぃぃぃ」 ゆっくりの絶叫が響く。まだまだ元気いっぱいだね。ゆっくりしていってね。 「ぐぐぐ………げぶっ………ごぼっ…どぼじで…ごんな………」 餡子を吐き尽してゆっくりは動かなくなった。そろそろ夜が明けようとしていた。当初の目的を忘れ一晩中ゆっくりの相手 をしていたようだ。 「どうしてこんなことするかって?」 私はゴミになったゆっくりに向かって言った。 「予想以上に君が可愛らしすぎたんだ。」 朝の陽射しの中、私は友人の笑みの意味が分かった気がした。 終 後書き 「万能お兄さん」の人に憧れて書いてみた。 SS書くのって難しいと痛感した。 お目汚し失礼いたしました。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/534.html
「ゆっくり手品」 一週間ぶりに外に出ると、あまりの暑さに逆に清々しい気分になった。 頭がおかしくなる前兆なのか、それともそれとは別の意味でヤバイのか… どちらかわからないが、ずっと家に篭っているわけにもいかないので里に出て買い物を済ませることにした。 眩しい日差しに目を細めながら歩いていると、あるものが目についた。 店頭に並んでいるのは、真っ黒な箱が5つ。これだけでは一体何に使うのかわからない。 横のプレートに書いてある説明を読むと…どうやらこれで手品をするらしい。 どんな手品が出来るのか、値段はいくらなのか、そんなことが書いてあった。 …ふむふむ、なるほど、把握した。 面白いことを思いついたので、購入を即決。他の買い物も済ませて帰路についた。 荷物を家の中に置いて、僕は籠を担いで再び外に出る。 先ほどの黒い箱をつかった手品…僕なりにアレンジした手品には、ゆっくりの親子が必要だ。 それも、子供が5匹以上いる事が望ましい。 しばらく草原を歩いていると、木陰で昼寝しているゆっくり一家を発見した。 両親であるれいむとまりさ。そして生まれてから2週間程度と思われる赤ちゃんのれいむとまりさが5匹ずつ。 合計12匹の家族だ。僕の手品には最適のゆっくり一家だ。早速連れて帰ることにしよう。 背負っていた籠を静かに下ろすと、未だ眠っているゆっくり一家を一匹ずつ籠に収めていく。 もちろん起こさないように注意深く、だ。起こしてしまったとしても、逃げられる前に籠に投げ込めば済む話なのだが。 そういった具合に12匹全員を捕獲し終え、蓋をして開かないように紐で結んで固定する。 もうここまでくれば、こいつらを起こさないように、などと遠慮する必要はない。 ウキウキ気分の僕はスキップしながら家路を急ぐ。 「ゆ!?ここはどこ!?まっくらでゆっくりできないよ!!」 これだけの衝撃を与えれば、鈍感なゆっくりでもさすがに目を覚ます。 自分の置かれた状況を把握できていない12匹のゆっくりは、口々に不安を漏らした。 「どうしてまっくらなの!!?」「ゆっくちできないよぉ!!」 「ここからだして!!おうちかえる!!」 そんな悲鳴に心を躍らせながら、僕は籠をもっと揺らしてやった。 家に着くと、僕は籠の蓋を開けて蹴り倒した。 籠の口から流れ出るように、12匹のゆっくり一家が飛び出してくる。 「ゆぎゅ!?ここはどこ?ゆっくりできるばしょ?」 「ゆ!おにーさん!!こんなところにとじこめたのはおにーさんだね!!」 「そんなことするおにーさんとはゆっくりできないよ!!」 どうやら僕が真っ暗な籠の中に閉じ込めたってことは把握しているらしい。 ゆっくりにしては、それなりに知能はあるようだ。 「へぇー…君達はゆっくりできないんだぁ…ダメだね!お兄さんは君達よりずぅーっとゆっくりできてるよ!」 この言葉に真っ先に反応したのは、母まりさだった。どうやら負けず嫌いな性格らしい。 それを見た他のゆっくりも、抗議の声を上げる。 「ゆ!!そんなことないよ!!まりさのほうがゆっくりできてるよ!!」 「そうだよ!!れいむたちのほうがゆっくちできゆよ!!」 「あ、そう。それじゃさっきの真っ暗なところでもゆっくり出来たでしょ?」 「むゆ!?ゆ…そ、そうだよ!!ゆっくりできてたよ!!」 そして、嘘をつくのが下手らしいこともわかった。 「ふーん、それじゃあもう一度このゆっくり出来る籠の中に入るかい?」 「ゆっ!!やだよ!!はいりたくないよ!!」 「どうして?君はとてもゆっくり出来るものだから、ここでもゆっくり出来るんだろう?ほら、入りなよ!」 「ゆぎゅぎゅ……!!」 下唇を噛みながら唸っている親まりさ。悔しそうに顔を真っ赤にしている。 このまま放っておくと中の餡子が爆発しそうなので、話題を変えることにしよう。 「ま、そんなことはどうでもいいんだけどさ」 僕は籠を退けて、ゆっくり一家の目の前に先ほどの真っ黒な5つの箱を並べた。 ツヤのある材質でできているそれは、妖しく光を反射している。 「ゆ?これはなあに?ゆっくりできるもの?」 「それよりおなかすいたよ!!おにーさん!!はやくごはんをもってきてね!!」 「ゆっきゅりおなかすいたよ!!」「ゆっくちおなかすいた!!」 「あかちゃんたちにもごはんをあげてね!!そしたらおにーさんもゆっくりさせてあげるよ!!」 素人ならここでブチ切れて、怒りのままにブチ撒けるのだろうが…僕はニコニコしながら黒い箱を叩いた。 「ま、君達みたいな出来の悪いゆっくりには、“手品”を見ながらゆっくりするなんてできないんだろうなぁ」 “手品”という耳慣れない言葉に逸早く反応したのは、母れいむだった。 「ゆゆ゛!!れいむたちはとてもゆっくりできるよ!!だからさっさとてじなをみせてね!!」 「ゆっくちみせてね!!」「まりさもみたいよ!!」 「いいよ、きっと皆ビックリするに違いないよ」 「びっくりしないよ!!れいむたちはずっとゆっくりしてるよ!!」 「まりさたちはとてもゆっくりしてるよ!!だからびっくりしないんだよ!!ゆっくりりかいしてね!!」 どうやらこいつらにとって、『びっくり』は『ゆっくり』に反するものらしい。 それはともかく、手品を実行する前準備は整ったので、本準備に取り掛かることにする。 「よし、じゃあ見せてあげよう!準備をするから、黒い帽子をかぶった小さい子はこっちに来てね!」 「ゆ!!ゆっくりいくよ!!」「ゆっきゅりてじな!!」 赤ちゃんまりさを呼び寄せようとすると、当然と言うべきか、両親から抗議の声が上がった。 「あかちゃんたちをどこにつれていくの!?ゆっくりつれてかないでね!!」 「あかちゃんたちにひどいことするきだね!!そんなわるいおにーさんとはゆっくりできないよ!!」 うーん、なかなかの知能だな。ま、所詮ゆっくりだからうまく言いくるめれば問題はない。 「あれぇ、そういうこと言って手品の邪魔をするってことは…君達はやっぱりゆっくり出来ない子なのかな!?」 「ゆぎゅ…ゆ、ゆっくりできるよ!!ばかにしないでね!!」 「だかられいむたちのあかちゃんをさっさとつれていってね!!」 ご両親の承諾を得たので、めでたく5匹の赤ちゃんまりさを確保。 そのうち、一匹は…両親のもとに返してあげる。 「ゆ!れいみゅもじゅんびしゅるよ!!ゆっくりつれていってね!!」 「君はいいんだよ。お兄さんは準備するから、君はお母さん達とゆっくり待っててね!」 「みゅ!わかったよ!!ゆっくりまってるね!!」 僕は残りの4匹を別の部屋に連れて行く。 さぁ…これから、死ぬほどビックリさせてやるぞ。 「さぁ集まって集まって!!手品を始めるよー!!」 「ゆー!!」「てじなてじな!!」「ゆっくりてじなをみせてね!!」 餓鬼を集めて紙芝居をするおじさんのように、僕はゆっくり一家を箱の前に集合させた。 横一列に並んだ黒い5つの箱とは別に、皿の上に乗った4つの饅頭と空の皿一枚を用意して、同様に横一列に並べる。 「さっきのあかちゃんたちはどこにいったの?ゆっくりせつめいしてね!!」 「あの子たちには別の手品の準備を手伝ってもらってるよ。邪魔しないであげてね」 「ゆ!!ゆっくりりかいしたよ!!」 母まりさは、未だ警戒心を解いていないのか…事あるごとに子供の安全を確認している。 だが、口先での安全確認などはっきり言って無意味だ。これからそれを理解させてあげよう。 「さて、さっきの黒い帽子の子、ちょっとこっちに来てくれるかな」 「ゆ!まりしゃもてつだうの?」 「そうだよ。とりあえず、このお皿の上に乗ってね」 ぴょんぴょんと、嬉しそうに跳ねて赤ちゃんまりさは皿の上に乗った。 それを確認して、僕は一家の注目を促す。 「それじゃあ説明するよ!これから4個の饅頭とこの赤ちゃんを黒い箱の中に隠します。 そして、箱の並び順をどんどん入れ替えていきます。 最後にお母さんまりさに、赤ちゃんがどの箱に入ってるか当ててもらいます。 赤ちゃんが入った箱を当てられたら、みんなの勝ちです。ゆっくり理解したかな?」 「ゆ!!わかったよ!!おかーさんにまかせてね!!」 「おかーしゃんがんばりぇ!!」「まりさ!!がんばってあかちゃんをみつけてね!!」 やる気になってもらったところで、僕は黒い箱に饅頭と赤ちゃんまりさを収め始めた。 「中は暗いけど、少しの間我慢してね」 「がまんしゅるよ!!まりしゃはつよいこだもん!!」 そんな声も箱の中へ消え、準備は整った。 今、赤ちゃんまりさは5つの黒い箱のうち、真ん中の箱に入っている。 「ゆ!あかちゃんはまんなかのはこにいるね!!」 「そうだね。それじゃあ箱の位置を入れ替えるから、しっかり見ててね。まずは練習だから、簡単にしてあげるよ」 僕は箱の位置をシャッフルし始めた。もちろん、ゆっくりの動体視力で追いつける速さである。 僕自身も赤ちゃんまりさの位置を把握しながら、十数回箱の位置を入れ替えて… 「はい!それじゃあお母さんまりさは、赤ちゃんがどの箱に隠れてるか当ててね」 「ゆゆ!!あかちゃんはこのはこのなかにいるよ!!」 母まりさは迷わず、僕から見て右から二番目の箱に飛びついた。 箱の蓋を開けると……その中には、赤ちゃんまりさが入っていた。 「おお、すごいね!当たりだよ!」 赤ちゃんまりさは箱から解放されるや否や、母まりさに飛びついて頬ずりする。 母まりさもそれに応えるように身体を動かしている。愛情の証なのだろうか。気持ち悪い。 「えっへん!!こんなのかんたんだよ!!もっとむずかしくてもだいじょうぶだよ!!」 「まりさすごい!!さすがれいむのゆっくりぱーとなーだね!!」 「おかーしゃんすごい!!」「おかーさんしゅごい!!」 だが、これだけでは手品とは言えない。これから…本物の手品を見せてやることにしよう。 「練習は終わりにしよう。これから本番を始めるから、赤ちゃんまりさはもう一度箱の中に入ってね」 「ゆ!またおかーしゃんがゆっくりみつけてくれゆよ!!」 自分の母を信頼しきっている赤ちゃんまりさ。 残念ながら、これから君が無事に助かるかどうかは…完全に運次第なんだよ。 「まりさはもっと難しいのがいいか…わかったよ、じゃあこうしよう」 饅頭と赤ちゃんまりさを箱に収め終えた僕は、5つの箱を隠すように黒い敷居を立てた。 その動作を見た瞬間、母まりさの顔から自信が失われていくのが手に取るようにわかった。 「こうすると箱を入れ替える動きが見えないから、すごく難しいね」 「こんなのむずかしすぎるよ!!おにーさん!!ゆっくりそのくろいのをどけてね!!」 「あれぇ?まりさは難しくても大丈夫なんじゃないの?やっぱりさっきみたいに、すっっっっごく簡単なほうがいいの?」 「ゆぐ!!そんなことないよ!!まりさはむずかしくてもだいじょうぶだよ!!」 「そうだよねぇ。だったらこの黒い板を退けなくても大丈夫だよね!」 相当プライドの高いやつだな、こいつは。 そのおかげで交渉がスムーズに進むので、とても助かる。 「わかったらさっさとはじめてね!!まりさがかんたんにあててあげるよ!!」 「おかーしゃんがんばれぇ!!」「おかーさんがんばっちぇ!!」 「始める前にもうひとつ、手品を面白くするために…」 僕はフライパンと携帯用のガスコンロを用意して、一家の目の前に置く。 「まりさがもし赤ちゃんを見つける事が出来たら、それ以外はただの饅頭ってことかな?」 「そうだよ!!あたりまえでしょ!!かんがえなくてもわかるよ!!」 「だったら、僕はまりさが選んだ箱以外の箱に入ってるものを、このフライパンで焼くことにするよ。 美味しい焼き饅頭を作ろう。完成したら皆に食べさせてあげる。 でも、もしまりさが間違えたら……赤ちゃんがフライパンで焼かれることになっちゃうんだけどね」 僕の物騒な発言に、一家の顔が一瞬で青ざめた。 「ゆ!そんなことしないでね!!あかちゃんがかわいそうだよ!!」「ゆっきゅりやめてね!!」 「そうだよねぇ。かわいそうだよねぇ。だから、まりさがちゃんと赤ちゃんが入ってる箱を当てればいいんだ。 そうすれば赤ちゃんは焼かれずに済む…簡単なことだよね、まりさ?」 「ゆゆ…か、かんたんだよ!!まりさにかかれば、こんなのかんたんにあてられるよ!! まりさはあかちゃんのいばしょをあてるから、ほかのまんじゅうはやいちゃってもいいよ!!」 まったく根拠のない自信である。 子供の命より自分の意地を優先するようでは…母親として失格だぞ? 「わかった。じゃあ始めるから…ちょっと待っててね」 僕は箱を適当にシャッフルする。 「ゆむむ…!」 「ゆゆ…おかーしゃんがんばれ!!」 「まりさ!!あかちゃんをたすけてあげてね!!」 透視するつもりなのか、黒い敷居を穴が開くほど見つめている母まりさ。そんなことをしても無駄だというのに… 箱をシャッフルした後、もうひとつある動作を加えて…僕は敷居を取り除いた。 「はい!今度は難しいよ!赤ちゃんがどの箱の中にいるか…ゆっくり当ててね! 正解しないと赤ちゃんが焼かれちゃうから、絶対に当てないとね!」 ここからが本番である。さぁゆっくりども…“死ぬほど”びっくりさせてやるから、覚悟しておけ。 「ゆぐぐ…どこにいるの?あかちゃんはどこにいるの!?」 先ほどと違って、僕以外は箱がシャッフルされる様子を見ていない。これだ、と確信を持って箱を指し示すことなど不可能だ。 さらに、もし間違えれば赤ちゃんが焼かれる、というペナルティ付。赤ちゃんの命が懸かっている。 適当に選んで、ハイ間違いでしたー、では済まされないのだ。 「ゆっぐりぃ!!あかちゃんどこお゛お゛お゛ぉぉぉ!?わからないよおお゛お゛ぉぉぉ!!……ゆゆ?」 完全な運任せ…と思いきや、何かを思いついた母まりさは大声で叫んだ。 「はこのなかのあかちゃん!!おかーさんのこえがきこえたら、おもいっきりはねてね!!」 すると… ガタッ 僕から見て一番右の箱が、一瞬だが振動した。 その一瞬を、母まりさは見逃さなかった。迷わずその箱に飛びついて、ケラケラ笑いながら宣言する。 「げらげら!!まりさのかちだね!!こうすればぜったいにあかちゃんのばしょがわかるよ!!」 「なるほどぉ…その手で来たか、まいったなぁ」 「これであかちゃんはやかれずにすむね!!ゆっくりしないであかちゃんをだしてあげてね!!」 「はいはい、今出すよ…」 僕は母まりさが選んだ箱の中から赤ちゃんまりさを取り出すと、母まりさのほうへ放ってやった。 子供の命を救うことに成功した母まりさは、いつも以上に赤ちゃんまりさに頬ずりして愛情を表現する。 一方赤ちゃんまりさは、どうして自分がここにいるのかわからないようだ。 きょろきょろ周りを見回しても、その疑問は解消されそうにない。 「まけいぬおにーさんは、さっさとのこりのまんじゅうをやいてね!!」 「そしてれいむたちにゆっくりたべさせてね!!」 「ゆっくちまんじゅう!!」「まんじゅうちょーだい!!」 勝ち誇る一家は、赤ちゃんまりさの様子に気づいていない。 そりゃそうだろうな…… その赤ちゃんまりさが、さっき箱に収めた赤ちゃんとは別物だってことにも気づかないんだから… 「そうだね、お兄さんは負けたから…残りの“4匹”は焼くことにするよ」 「さっさとやいてね!!さっさと………ゆ?」 僕は残りの4つの箱を開けて、その中身を手に取る。 箱の中から出てきたのは… 「ゆ!!ここはどこ!?」「くらくてゆっくちできなかったよ!!」 「おにーさんはまりさたちにゆっくちあやまってね!!」「あやまったらゆっきゅりさせてあげるよ!!」 なんと、4匹の赤ちゃんまりさだった。 「すごい!!さっきまでおまんじゅうだったのに!!あかちゃんにかわってるよ!!」 「ゆゆゆ!!おにーさんすごいね!!でもさっさとあかちゃんをはなしてあげてね!!」 先ほどまでは確かに4つの箱には饅頭が入っていた。しかし、今出てきたのは赤ちゃんまりさだ。 さすがの餡子脳でもこの不思議さは理解できるようだ。手品は成功である。 「さあ、美味しい焼き饅頭を作っちゃうぞ~!」 僕は“ただの饅頭”4つを、十分に加熱されたフライパンの上に放った。 「いっぎゃあかかかけrgりげ!!!」 「あづいあづいあづいいだいいぢあいいああいあいあ゛あ゛あ゛!!!!」 精一杯跳びはねて脱出しようとするが、赤ちゃんゆっくりの跳躍力で脱出できるほどこのフライパンは小さくない。 「ゆっ…ゆぎゃああぁぁぁぁぁあぁあ!!!がえじで!!まりざのあがぢゃんがえじでえぇぇぇぇえ!!!」 「れいむのあがぢゃんになんでごどずるのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛おぉぉぉぉぉ!!!!」 何が起こっているのか即座に理解した母まりさと母れいむは、一目散にフライパンへと向かう。 だがフライパンの放つ熱気に怖気づいたのか、一定の距離をおいて立ち止まってしまった。 「おにいさん゛!!さっざとまでぃざのあがたんがえじえええぇぇえ!!!」 「え?それは無理だよ。だって、君はこいつらの入ってる箱を選ばなかったじゃないか。 それってつまり、こいつらはただの饅頭であって、君の赤ちゃんじゃないって事だろ?」 母まりさは、無駄に知能があるせいか論理的に攻められると反撃できないようだ。 すると今度は、無知で無能な母れいむの出番である。 「ゆ゛!!ぞんなごどばいいがら!!ざっざどあがぢゃんだじげでおおおおおぉぉぉ!!!!」 「でもこれはルールだから。そんなに助けたかったら、お母さんがフライパンに飛び込めばいいじゃないか。 それとも何?フライパンに飛び込まないってことは、助けたいって言うのは口だけなの?口先だけなの?え?どうなの?」 「ゆぐぐぐ…ゆ!こうなったのはまりさのせいだから、まりさがたすけにいけばいいよ!!」 「ゆぶ!?どうじで!!れいむだっでおがーざんでしょ!?れいぶもだじゅげでよ゛!!」 パートナーのご指名である。うろたえるまりさ。震えながらまりさをぐいぐいと押すれいむ。 どうやら赤ちゃんを助けたいというのは口先だけで、本当は2匹とも自分の身の安全が第一らしい。 「までぃざがあかちゃんのはこをえらばないからこうなっだんだぼ!!ゆっぐりぜぎにんどっでね゛っ!!」 「どうじでぞんなごどいうぶぎゅえっ!!?」 言いたいことを言い終える前に、まりさはれいむに弾き飛ばされてしまった。 着地点は…もちろん、フライパンのど真ん中である。 「あんぎゃあ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁあ゛ぁあ゛ぁあ゛ぁ゛あ゛!!!!!!」 「お、おがじゃん!!だじゅげでえぇええぇぇぇぇぇえぇ!!!!」 「あぢゅぐでじんじゃうよおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!」 ジューッといい音をたてて焼けていく母まりさと赤ちゃんまりさ4匹。 「どぼじでだずげでぐでないの゛!?」「どぼじでええぇぇぇぇ!!!」 「みでないでだじゅげでおおおおぉぉぉぉ!!!」 「あんびゃあおあろぎあじぇろgじゃえおりgjぽあえいrgぱ!!!!」 「ゆ…ゆっくりがんばってでてきてね゛!!」 子供たちの叫びに、母れいむはただ見つめているだけだ。 自ら助けに行こうとしない。それは残された子供を守るために自分がいなくなってはいけないという高尚な判断なのか… それとも、自分が母まりさや赤ちゃんまりさのようになりたくないだけなのか……たぶん後者だろうな。 「あ…ばば…だじゅ…げで……!」 「じ、じに……だぐ……だいびょ…!!」 「うーん、良い匂い♪」 そんなことをしているうちに、まりさ計5匹の底面がこんがり焼きあがった。あまりの激痛に全員気絶している。 これ以上焼くと命に関わる。今回はこの辺で勘弁してやろう。 広く知られているように、ゆっくりは底面の組織をやられると自力で跳ね回る事が出来ない。 こいつらは、後で自然に放って観察してやろう。面白いことになりそうだから。 香ばしい匂いを放つゆっくりを、僕は袋につめて適当に押入れに放り込んでおいた。 「おにーさんとはゆっくりできないよ!!れいむたちはおうちかえるね!!」 「ゆっくちかえるよ!!」「ゆっきゅりかえるにょ!!」 残っているのは、母れいむと子れいむ5匹に子まりさ1匹である。 あんなことを言っているが無視していいだろう。どうせ自力でドアを開けられないのだから。 それより…僕は、知能の低いゆっくりに対して試したい事がひとつある。今回、それを試してみようと思う。 「へぇー、家族を放っておいて帰っちゃうの?酷いねぇ…全然ゆっくり出来ない人だねぇ…」 底面が完全に焦げているまりさたちを指差して、くすくす笑いながら問いかける。 ゆっくりには“自分は一番ゆっくりしてる”というプライドがあるので、すぐに突っかかってくる。 「ゆぐぐ!!れいむはゆっくりしてるよ!!しつれいなこといわないでね!!」 「ふぅ…はいはいわかったよ。そんなにゆっくりしてるなら一人で帰れば?子供たちはお兄さんが食べちゃうから」 僕は適当に赤ちゃんれいむを掴みあげると、口の中に放り込もうとする。 本当に食べるつもりはないのだが、こうでもしないと必死になってくれないだろうから。 「れいむはたでものじゃないよぉ!!ゆっくちだべないでええぇええぇぇ!!!」 「おにーさん!!あかちゃんをはなしてね!!ゆっくりたすけてあげてね!!」 ぽよんぽよんと、体当たりしてくる母れいむ。もちろん痛くない。むしろ気持ちいい。 そんな母れいむの頭を僕はむんずと掴んで、ぐっと握り締める。 「あ?『はなしてね』?『たすけてあげてね』?…言葉遣いに気をつけろよ」 「いだだだだ!!!いだいだいだいだいだいだいだいだいだいいいいぃぃぃ!!!!」 「『放してあげてください』『助けてください』だろ?言ってごらん」 「ゆびゃああぁぁぁぁあぁ!!!たずげでぐだざいいいぃぃぃい!!!! れいぶのあがだんんん!!!!はなじであべでぐだだいいいいいぃぃぃぃ!!!!」 もう発音が滅茶苦茶で半分聞き取れないが、それらしいことは言ってるので助けてやろう。 このれいむは無知で無能だと思っていたんだが、やれば出来る子じゃないか。 「よしわかった。でもひとつだけ条件がある」 僕は手に持っていた赤ちゃんれいむを放してやる。 解放された赤ちゃんれいむは、他の赤ちゃんゆっくりたちと同じように部屋の隅に跳ねていってガクガク震え始めた。 「お前、子供を全員食べろ。そしたら子供たちは助けてあげよう」 「……ゆ?」 僕の言葉を、ゆっくりと理解していく。 部屋の隅にいる自分の子供と、僕の顔とを…何度も何度も見比べて。 「もう一度言う。子供を全員食べろ。そしたら子供たちは助けてやる」 「……ゆゆゆ?ほんとう?あかちゃんたべたらあかちゃんをたすけてくれるの!?」 「本当だ。お兄さんは嘘をつかないよ」 …母れいむの視線が一箇所に定まった。 もちろん、その視線の先にいるのは…6匹の赤ちゃんゆっくりである。 「……ゆ!!ゆっくりたべるよ!!あかちゃんたべてあかちゃんをたすけるよ!!」 その動きに迷いはなかった。そして、やはり無知で無能だった。 『赤ちゃんを助けるために、赤ちゃんを全員食べる』…なんら矛盾を感じないとは、正直言って驚きである。 「おかーしゃん!!ごわかっだぶゆぎゅうううぅぅぅ!!!だだだだべべべべべなななないいでええぇぇぇえ!!!??」 一匹目の犠牲者は赤ちゃんれいむ。 母れいむと一緒にゆっくりしようとして飛びついたところを、ガブリと噛み付かれてしまった。 「むーしゃむーしゃ…みんながまんしてね!!おかーさんがたすけてあげるからね!!」 「おがーしゃんだべないでえ゛え゛え゛ぇぇえ゛ぇぇぇえ゛!!!」 「れいむだぢはだべものじゃないよお゛お゛お゛お゛ぉぉぉぉ!!!!」 逃げ惑う子供たちと、それを追いかける母れいむ。子供たちは命が懸かっているので必死に逃げる。 しかし、どんなに必死になったところで、その体格差は覆せない。 「ゆがあああああああぁぁぁぁ!!!やべ…ぶびゅっ!!!」 「がまんしてね!!みんなをたべればみんなたすかるんだよ!!!」 「いぎゃあああぁぁあぁ!!!ゆっぐでぃでびば…ぶへっ!?!?」 「どぼぢで…どぼぢでごんにゃごどずるぶゆえ゛!!??」 母れいむの食事が終わったのは、それから5分後だった。 口の周りを餡子で汚した母れいむが、僕のもとに駆け寄ってきて宣言する。 「やくそくだよ!!こどもたちをぜんいんたべたから、こどもたちをたすけてあげてね!!」 「うん、いいよ」 ……… 数秒の静寂。僕はニコニコしながら、母れいむの顔を見つめる。 「…なにしてるの!!さっさとあかちゃんをたすけてあげてね!!やくそくしたよ!!」 「うん、だからいいよって言ってるでしょ」 晴れやかな顔になった母れいむは、僕が子供を助けるのを待っている。 しかし、動こうとしない僕を見て母れいむは顔を真っ赤にして激怒した。 「…いいかげんにしてよね!!ゆっくりあかちゃんたすけてくれないとおこるよ!!」 「うん、だからさっさと赤ちゃん連れて帰ってよ」 僕は玄関の扉を開け放って、母れいむに呼びかけた。 「ほら、助けてやるって約束だもん。どうぞ連れて帰ってくださいよ。そこにいたでしょ?君の子供」 「ゆ?なにいってるの!!あかちゃんはここにいないよ!!ゆっくりみればわかるでしょ!!」 「そうだね。じゃあ君の赤ちゃんはどこに行っちゃったの?」 これだけ言っても、まだわからないのだろうか。 僕の提示した条件、自分のしたこと、そして…その結果。僅か数分前の出来事だというのに… 「君は…さっきまで“何を”食べてたんだっけ?」 母れいむの口についた餡子を指でとって、じっくりと見せ付ける。 「君は…赤ちゃんを助けるために“何を”食べてたんだっけ?」 「ゆ…ゆゆゆ…!?」 その餡子を口の中に突っ込んで、無理やり飲み込ませる。 「君は…“何を”助けるために赤ちゃんを食べてたんだっけ?」 「ゆびあやあやあいあいあおあお゛あお゛あお゛あお゛あ゛あ゛おあおあ゛おあお゛あお゛あ゛あお゛!!!???」 全てを理解した母れいむは、狂ったように跳びはねて壁に体当たりする。 「そうそう!赤ちゃんは君のお腹の中にいるからね!ゆっくり助けてあげてね!!」 「ゆぎゃあぁあぁぁああぁぁ!!!どうじでどうぢせどうじじぇああぁぁぁああぁぁ!!!!」 「ふふふ!急いで吐き出せばまだ間に合うかもしれないね!!」 おそらく間に合わないだろう。既に母れいむの餡子と混じってしまったに違いない。 だが、そんなことも分からない母れいむは何とか子供を助け出そうと自分の身体を痛めつける。 「ゆぶ!!ゆべべべべべえええぇえっぇぇえぇ!!!」 口から吐き出すのは、餡子ばかり。赤ちゃんゆっくりは一匹も出てこない。 母れいむは餡子の山を崩して必死に子供を探すが、やはりそれらしい姿は見つからなかった。 「どうしでぇえぇぇえ!!!どうしでででごないのおおおぉぉぉぉ!!!??」 「そりゃあ、君が美味しそうに食べちまったからな。むーしゃむーしゃしあわせー♪って」 「ぐぎゃああぁぁっぁあぁ!!!あがだんででぎでええぇぇぇぇえええ!!もうだべだりじないがらああぁぁぁあ!!!」 何度も何度も、身体の皮が破れても壁への体当たりを止めない母れいむ。 無知で無能なこいつも、母性だけは一人前のようだ。 「ゆぶえ!!ゆべべべべ…!!」 体力も尽きかけていた頃、母れいむの口からあるものが出てきた。 それは…赤ちゃんれいむのリボン。そして、赤ちゃんまりさの帽子だった。 餡子化に時間のかかる髪飾りだけが、餡子にならずに体内に残っていたのだ。 「おー、飾りだけは無事だったみたいだな。どうする?これだけ持って帰る?」 くすくす笑いながら問いかける。 母れいむは、もう理解したようだった。自分の身体の中に、もう赤ちゃん達は残っていないということを。 口から出てきたこの髪飾りが、何よりの証拠である。 「ゆ゛…あがぢゃん゛…どうしで…?」 そして、母れいむは理解したようだった。 …自分が、二度とゆっくりできないということを。 「ゆっがあああぁぁぁあぁぇぇぁぁぁぁぁあゆッぐりじねえああぁあぁぁぁぁぁぁあ!!!!」 狂った母れいむは、今までにない叫びを上げながら暴れ始めた。 壁に体当たり、花瓶に体当たり、本棚に体当たり。それでも狂気は止まらない。 そして、血走った目で僕を見つけた母れいむは… 「ゆっぐでぃじねえ゛え゛え゛ぇぇぇえ゛ぇえ゛ぁああ゛あぁぁぁ゛!!!!」 ゆっくりとは思えないスピード、ゆっくりとは思えない跳躍力で僕に飛びつき…左腕に噛み付いた。 痛みはない。ゆっくりの力など、たかが知れている。 「っしねぇ!!じねええぇぇ!!!ゆっぐりじねえ゛え゛ええ゛ぇぇぇぇぇええ゛え゛ぇ!!!ぶぎゅえっ!?」 母れいむを左腕から引き剥がす。そして… 「…もう、お前はいらない」 口に腕をねじ込んで、背中の皮を掴んでぐいっと一回転。 背中の皮や餡子が口から出てきて、代わりに顔面や毛髪が口の中に吸い込まれていく。 「あびゃばyばyばあおあおあおあおえろpgかえぽrgこあけpご……!!??」 “裏返し”になった母れいむは、ぼとぼとと中身の餡子を全て床の上に撒き散らし…皮だけとなって絶命した。 その餡子の山をスプーンでかき回すと、残っていた髪飾りが出てきた。 さっきの分も合わせると、合計で6つ。食われた赤ちゃんゆっくりの数と一致する。 「あーあ…かわいそうに。お母さんがバカだったせいで…」 そんな同情の声も、赤ちゃんゆっくりにはもう届かない。 僕は餡子を一口だけ味見すると、散らかった部屋を片付け始めた。 「さて!」 餡子の山を始末し終えて、押入れを開く。 底面の焼け焦げたまりさたちが入った袋を担いで、僕はもう一仕事始めることにした。 「お前らには、お兄さんが直々に自然の厳しさを教えてやるぞ!!」 袋の中のゆっくりまりさたちの震えが、しっかりと伝わってくる。 きっとこいつらなら、もっと面白いものを見せてくれるに違いない… そう確信して、僕はゆっくりの生息地である草原へと向かった。 (終) あとがき スレに自分が書き込んだネタと、他の人が書いたネタも使わせてもらいました。 ちなみに、お兄さんの手品はタネのない手品です。 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5213.html
初投稿、虐待描写少なめ。 ゆっくり包丁とお兄さん 「おきゃあしゃああん!ゆんやぁぁぁぁ!ゆんやぁぁっぁ!!」 「お姉しゃん!?こっちこにゃいでね!?こにゃいでぇぇぇ!!」 ガラス製のボウルにいれられたゆっくり達が体をぐねぐねとくねらせながら泣き叫んでいます。 知能の低い赤ゆたちでも親ゆの無残な姿を見れば、自分達が何されるかぐらいは解るのでしょう。 私はゆっくりれいむだった物からゆっくりと「ゆっくり包丁」を引き抜くと、ボウルの赤ゆに手を伸ばします。 「まりしゃはおそらを・・・ゆぴぃぃぃぃ!!」 「ゆわぁぁ!いもうちょー!」 私はその小さなゆっくりまりさに包丁を・・・ 私が「ゆっくり包丁」に出会ったのはもう5年も前のこと。 料理学校に通うことになった私に、父が包丁を買ってくれました。 次の休みの日に一緒に買いに行こうと父が言ってくれて、休みの日が待ち遠しかったのを覚えています。 そして当日、街の金物屋に行った時その包丁はありました。 野菜を切る包丁、お魚を切る包丁、普通の包丁、それらと一緒に並んでいたその包丁は、 今まで見たことのない不思議な形をしていました。 「それはね、ゆっくり専用の包丁さ」 隣にいたお兄さんがそう言いました。 「ゆっくりはね、苦しめば苦しむほど甘みと弾力が出て美味しくなるんだ、 余計な傷が付かないような鋭い刃、あえて傷を付ける鋸のような刃、 側面で潰したり叩いたり出来るようにそれなりの厚さと重さにしてある」 そう教えてくれました。 「この包丁に興味を持つなんて、君は虐待おn・・・いやいや料理人としての見込みがあるね」 そう言って私の頭をポンと叩くとお兄さんはお店を出て行きました。 その日は普通の包丁を買って貰ったのですが、私は「ゆっくり包丁」の事が気になって仕方ありませんでした。 ゆっくりって美味しいのかな、どのくらい甘くなるのかな、包丁高いかな、そんな事をいつも布団の中で考えていました。 今思えば、その時からもう私はその「ゆっくり包丁」に魅せられていたのです。 昔のことを思い出しながら私は下ごしらえを終えました。 さっきまではやかましかった厨房もいまでは静まり返っています。 料理に使えない親ゆの死骸はゴミ袋へ、皮と餡子そして中枢餡を分けた元赤ゆ達はそれぞれ別の容器へ。 「下ごしらえは済んだかな?それじゃ、そろそろ店を開ける準備をしようか」 「はい、山越オーナー」 料理学校のゆっくり科で優秀な成績だった私は、学校からの紹介でこの料理店で修行中です。 この店のオーナーはなんとあの時のお兄さん、私に「ゆっくり包丁」を教えてくれたお兄さん。 ここはレストランヤマゴエ、都内で有名なゆっくり専門の料理店です。 おしまい
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2517.html
社員ゆっくり ※現在の地球とは少しだけ軸がずれたパラレルワールドだと思ってください ※ゆる虐待は多少ありますが、愚鈍で高慢なゆっくりをボコボコにしたい方には合わないと思います。箸休めにどうぞ。 ※お兄さんと劇中の飼われゆっくりは仲が良いです ※作品中に登場する会社名等は実在のものとは一切関係がありません ゆっくりが出現して20年程、元々は野山に住んでいたゆっくりは徐々に人里に下りていき、街へも進出しだした。 当初はゴミを荒らし、住居に侵入したりとやりたい放題であったが、当然ながらそういったゆっくりは人間によって即処分される。 その結果、(ゆっくりにしては)頭がよく賢い、それでいて比較的気性の穏やかなゆっくりが残り、そして繁殖を繰り返した。 頭がが良く穏やかなゆっくりであれば当然人間に迷惑をかけることも少ない。となると殺されることも少なくなる。 街ゆっくりは今では人間の(それなりに)良きパートナーとして生き残っていた。 「ただいま」 男がそう言い玄関の戸を開けるとまりさが廊下をぴょんぴょん跳ねながらやってきた。 「ゆっくりおかえり!!」 このまりさはもう1年ほど前から男が飼っているゆっくりだ。野良犬に襲われていた横を通りがかっただけなのだが なぜか犬がそのまま逃げてしまいまりさは男のおかげだと泣きながら感謝し、それから懐いてしまったのだ。 どうやら飼いゆっくりだったらしいのだが、飼い主の事情で捨てられてしまったらしい。 変に媚びることもなく淡々と語るまりさを見て最初は「まぁいいか」くらいの気持ちでペットにしたのだが、 実際は一人暮らしの寂しさを紛らわせたかったのだ。 今となってはペットというよりは居候といった感じだが。 「ゆっ!おつかれさま!おみやげは?おみやげは?」 「あ?別に出張でもないし特に何もないぞ。つうかおまえ毎日それだな!」 「ゆぐっ・・・だってまいにちひまだし・・・おにいさんおかねくれないからあそびにもいけないし・・・」 そう言ってまりさは口をとんがらせてすねていた。 人間の社会に入り込んだゆっくりは貨幣の概念を理解している。ゆっくり用のグッズを販売する店や ゆっくり用のレジャー施設も存在し、ゆっくりだけで買い物に行っても極普通に対応してもらえるので お小遣いを与えられたラッキーなゆっくりでいつもごった返していた。 「働かざるもの食うべからずという言葉を知っているか。」 「ゆぅ・・・おにーさんからなんどもきかされたからしってるよ・・・」 「ならそういうことだ。三食屋根付きなだけでもありがたいと思うように。」 この社会にも野良ゆっくりは存在する。昔に比べて賢いゆっくりが増えた分人間もそれ相応の対策はとってある。 ゴミ捨て場などもカラスはもとよりゆっくりにも破られないようにいろいろ改良がなされている。 となるとそこらの雑草や花を食べるしかない。だが賢くなったゆっくりは人間の所有する整備された花や植物を 勝手に食べるとどうなるかは知っていた。よほど危機的な状況ならば分からないが、まずそういった愚挙は犯さない。 まりさはそういった行為をしでかした野良ゆっくりが目の前で潰されたり保健所に連れて行かれた場面を何度か見ている。 そんな生活はごめんだった。 中には人通りの多い場所で物乞いをするゆっくりもいたが、同情を誘うためか酷く汚れていたり、自ら片目を潰したり するゆっくりが大半だ。まりさにはとてもそんなことはできない。 家に置いてもらい食事まで頂戴していることはありがたいとは思っていたが、ゆっくりはゆっくりなりに欲もある。 雑誌を見たりテレビをつければゆっくり用おもちゃの広告やらなんやらでその欲求を無駄に刺激するのだった。 食事を済ませ風呂から上がりパンツ一丁の男はまりさと居間でテレビを見ながらゴロゴロしている。 おやつの笛ラムネを口にしたまりさはピープー音をたてていたので「うるさい」と言われ男に足で軽く蹴られた。 「ゆっくり王国」 まりさが一番好きな番組だ。色々なゆっくりやその生活を取り上げる番組だ。 オープニングタイトルが消えた後スタジオには中に人間が入っている巨大れいむとまりさのきぐるみがドスンドスンと 飛び跳ねている。 その中のコーナーの一つ「ゆっくりお宅拝見!」が始まった。 さまざまなゆっくりが人間の家で暮らしている様子を映し出している。 「この貧乏芸人の家で飼われてるれいむは悲惨だなぁ・・・おい見ろよなんだあの尋常じゃない色の布団のしみは」 「ゆぐ・・・あんなところでねたらかゆいかゆいだね」 「このゆっくり腹話術ってれいむの下から手つっこんでないか?」 「かんぜんにいっちゃってるね!このれいむはもうはいじんだよ!おおこわいこわい」 どうでもいいような話をしながらだらだらする一人と一匹。まりさは笛ラムネを歯で縦に割りバリバリと食べていた。 ボフッ 男が寝たまま放った屁をまともにくらい、「ゆぎゃあ!」と叫び後ろにのけぞるまりさ。 バシンバシンとまりさが尻に体当たりを始める。 「ブーブーはむこうむいてしてっていったでしょ!!!」 ゆっへっへとふざけて笑った男が再びまりさが体当たりしてきたタイミングでブッともう一発おみまいした。 「ゆぎゃぎゃぎゃ!!!」 ごろんごろんと転がるまりさ。 「へこきれみりゃはしね!」 鉢植えの土に敷いていた小石を口に含み男の尻めがけて吹き付ける。さすがに尻への体当たりは危険度が大きいことに気づいたようだ 「こらー散らばすなー、って、おいそんなことよりこのまりさすごいぞ。見ろ見ろ。」 テレビでは既に違うゆっくりが紹介されている。 大金持ちに飼われているゆっくりだった。 お城のような家で飼われているまりさがそこにいた。髪の毛の艶もすばらしく、肌の張りもステキだ。 まりさはテレビを見ながらボーっとして咥えていた小石をぽとりと落としてしまう。 「すごいゆっくりだね・・・まりさのようなしょみんとはべつじげんだよ・・・」 「庶民で悪かったな」 男は貧しいわけではない。むしろ普通より多く稼いでいた。ただ、贅沢を好まない性格なので飾り立てたり 無駄遣いをしないだけだった。単にケチというだけかもしれないが。 ただそれでもまりさ専用の部屋を用意するなどしているあたり余裕がある証でもあるのだが。 テレビの中のまりさは贅沢な装飾品を身に着けたり、高そうな食事を与えられたりしていた。 特注で作らせたゆっくり用天蓋付ベッドでくつろぐ金持ちまりさは優雅に「ゆふふふ」と笑っていた。 「おにーさん!まりさもあんなべっどほしい!!ほしい!!」 まりさは屁のことなどすっかり忘れて飛び跳ねて男に懇願している。 「おまえのベッドで充分だろが、いつも気持ちよさそうに寝てるだろ」 「ゆぐぐぐ!あのくっしょんはおにーさんがすわってぶーぶーするからくさいよ!あんなべっどのほうがいいよ!」 「だめだだめだ、そんなに欲しかったら自分で稼いだ金で買え」 「ゆぎぎぎぎ!」 歯軋りするまりさを無視して男は尻をかきつつテレビを見ている。 お宅拝見のコーナーが終わり次のコーナーへと移っていた。どこかの会社のオフィスらしい。 仕事をしている社員の後ろをゆっくりが歩いていた。 『こちらの会社では社員の癒しを目的としてゆっくりを導入しているそうです。このゆっくりれいむのお仕事は 社員を和ませること。そして簡単な雑務ならこなしちゃうんですよ~すごいですね~広報としてパンフレットにも 登場しちゃったりしています』 レポーターがそう言うと穏やかな顔つきのれいむが 「れいむのおしごとはみんなをゆっくりさせることです!ゆっくりしていってね!」 そう元気よく叫んだ。 場面が変わって休息室でコーヒーを飲んでいる社員がゆっくりの頭をなでている場面が映る。 また別のゆっくりはゆっくり用の台に乗ってコピーまで取っているではないか。 更に別のゆっくりに至っては受付に鎮座し来客に「いらっしゃいませ!」と挨拶をしている。 プレゼン資料を客の数だけまとめてホチキスで留めているゆっくりまでいた。 ひらがなくらいしか読めないゆっくりだが、同じ図柄の紙をそれぞれまとめる程度は出来るようだ。 そのゆっくりはなぜか眼鏡をかけていた。 『なんと!このゆっくり達はこの会社の社員なんです!みてくださいこの社員証を』 リボンについた社員証がアップになり、そこには「れいむ025」と書かれていた。 「このゆっくりは偉いなぁ~ちゃんと働いてるんだね~」 男は少し意地悪くそう呟く。 『しかもこの社員ゆっくりにはちゃんとお給料も出るそうなんです。すごいですね~』 男の意地悪い発言に苦虫を噛み潰したような表情をしていたまりさは「お給料」という単語に反応し、 これだっ!という顔をして叫ぶ。 「ゆゆゆゆゆ!!!!まりさもはたらく!はたらいておかねもちになる!!!」 「おまえが働く?馬鹿言うんじゃないよ。おまえ働くってどういう事かわかってるのか?あ~ん?」 足の先でまりさの頭をぐりぐりしながらからかう男。 「しつれいだね!まりさははたらきたいんだよ!おかねをかせいでおにーさんをたべさせてあげるんだから!」 「ウヒャヒャヒャ!いいねぇ~ゆっくりのヒモかぁ~やれるもんならやってみな~」 相変わらずまりさをからかい続ける男はニヤニヤと笑っていた。 ぷくーっと膨れたまりさはこう続ける。 「やってみなっていったね!?まりさほんきだよ!ほんきなんだからね!!」 男はたわごとだろうと高を括りニヤニヤしたままだった。 「あとおにーさん!ぱんつのすきまからたまたまがまるみえだよ!ぷぷっ!」 まりさの顔に真正面から蹴りが入った。 翌朝 騒がしい音がして男が目を覚ます。 「なんだこんな朝早くから・・・うるせぇな・・・」 眠い目を擦り音のする方を見るとまりさが大量の新聞紙やらちらしを広げて何やらやっている。 「・・・おまえ何やってんだ?」 「ゆっ!おはようおにーさん!まりさはおしごとのれんしゅうしてるんだよ!」 見ると顔の中央に男の足型がうっすらと残ったままのまりさが回収に出そうと部屋の隅に積んでいた新聞とチラシの山を解き、 社会面、スポーツ面、経済面、そして同じような色合いのチラシごとにそれぞれまとめていた。 「きのうのてれびであのこがやってたのとおなじことできたよ!すごいでしょ!」 まりさは腹(?)を突き出すようにしながらフガフガと鼻息を荒くしている。 「ほっほー・・・おまえなかなかやるなぁ。つうか本気で働きたいのか?」 「ゆっきーーー!!ほんきだっていったでしょ!」 体を膨らませ抗議の意を表すまりさ。朝からかなりテンションが上がっている。 「ふうむ・・・よしわかった。そこまで言うなら試してみるか。ただしやるからには本気でやれよ」 まりさの熱意に男が折れた。あっさりと男が働くことを許可したせいかまりさは一瞬ぽかんと口を開けたままで 男を見つめていたが、その意味を理解し次の瞬間パァァと顔が明るくなり、体を縦に伸ばしてクネクネとねじり始める。 「ゆっきゃあああ!!これでまりさもおかねもちだね!!」 どうやら喜びの意思表示らしい。 その様子は少しキモかった。 「さて、んでどこで働くつもりなんだ?」 「ゆっ、きのうてれびでやってたところがいいよ!」 「昨日の?どこだっけ・・・ああ、日本ミラクルか。確か最近青山に自社ビル建てたんだっけかな・・・青山なら通勤途中だし まぁいいか・・・どれどれ」 PCを起動しブラウザから会社のサイトを開き「採用情報」をクリックする。 新卒採用、中途採用、障がい者採用・・・・ゆっくり採用 思わず飲んでいたお茶をブッと噴出す。 わかっていて開いたページだが改めて「ゆっくり採用」などと書かれていると滑稽で仕方が無い。 「ゆっくり採用専用ページ」をクリックすると、微笑んだまりさとれいむが「ゆっくりはたらこうね!」という台詞と 共に表示された。 「ゆっーー!!!すごくゆっくりしてそうだよ!おにーさんはやくはやく!」 いつのまにか机の上に上り一緒にモニタを見ていたまりさが興奮気味に男をせかす。 【職務内容】 社員に対する福利厚生を目的とした活動全般 広報活動へのサポート 平易な雑務(能力による) 【応募資格】 年齢:成体ゆっくり 経験:問わず(労働経験あれば尚可) その他:飼いゆっくり登録済み、穏やかな気性、協調性必須、ありす種は去勢済みであること 【語学力】 ひらがなの読解力(漢字、英語の読解力があれば尚可) 【勤務時間】 3日~5日/週 9 00-17 30 【待遇】 15,000円~/月(昇給あり) 契約社員 「うわぁ、割と本格的だな・・・ところで英語を話せるゆっくりはいるのだろうか・・・?」 「おにーさん!どうなの?まりさだいじょうぶ?」 モニタの横でぼよんぼよんと跳ねながらはしゃぐまりさ。 うるさいので頭を手でぎゅうと押し付けながら詳細を確認する。 「ふうむ・・・一応おまえは条件的にはクリアはしているな。おい、おまえ協調性あるのか?」 「ぐむむびゅ・・・ぎょーぢょーぜいでなあに」 押さえつけられたままのまりさが半分潰れたまま質問する。いつもならこんなことするとすぐに怒り出すまりさだったが 今は希望に満ちているのか気にもとめてないようだった。 「ああ、すまんすまん、ええと他のゆっくりや人間と一緒に仲良くしたり、いう事聞いたりできるのか?」 「もちろんだよ!まりさはともだちのれいむやぱちゅりーとなかよくしてるよ!それにおにーさんみたいな いじめっこのいうこともちゃんときいて・・・」 再び手で押さえつけられてむぎゅうと言って黙る。 「まぁ確かにそうだな、おまえは他のゆっくりとも喧嘩しないし大丈夫かなぁ~って、あ・・・」 【今期のゆっくり採用の募集は終了しました】 「ハイ残念でした・・・・もう募集は終わったってさ。」 「ゆがーん・・・!!!」 ショックでそのまま机の上からぼたっと床に落ちる。 「ゆっくりした結果がこれだったな。」 落胆したまりさはしばらくふてくされて横になり、ぐでっと溶けたアイスクリームみたいになっていたが のそりと起きると男に向かって口の端をゆがめてこう言った。 「・・・はたらいたらまけかなっておもってるよ・・・」 おしまい 続く(のか?) =============== あとがき 虐待らしい虐待がありませんでしたが、まぁこういうのもいいかなと思いました。 斬新な虐待方法が浮かばなかったというのもありますが。 飛び散る餡子を望んでいた方々申し訳ない。 これまでに書いたもの うんうんの報い ゆっくり罠地獄その1 by ゆっくりジェントルマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1644.html
※ゆっくりいじめSSですが虐待成分極薄です、描写がほぼ無い;; ゆっくりではなく人間がメインだったりします。それでもよろしければお読みください。 染物 数年前、ここ幻想郷にゆっくりなるしゃべる饅頭のようなものが現れた。 動物か植物か、あるいは生物かすら怪しいそんな奇妙な存在。 人間はそんな彼女達を最初は疑問に、あるいは恐怖に感じていたが今ではそんなこともなくなってしまった。 あるものは農業や日々の作業を手伝い、人間と友好的な関係を築いた。 あるものは人間の家や田畑を襲撃し、そのため人間に駆逐されるような敵対関係を築いた。 あるものは食料や労働力を目的とし捕獲され、一方的な搾取を行われる支配関係を築いた。 その形は様々であるがゆっくり達は人間社会に浸透してゆき、その結果人々の生活は概ね豊かになっていった。 これは、そんな彼らと正面から向き合うある真摯な1人の男の物語である・・・ 「実録、ゆっくりにみる! ~ある伝統工芸者の挑戦~」 第2回 染物職人 染物職人の朝は早い。 日の出よりも早く床を発ち、黎明の空気を体全体で浴びる男が一人。 彼は「尾二山 猛」(ひじやま たける)さん、62歳。 彼の職業は染物職人、様々な繊維や生地に色を吹き込むことを生業にしている。 「まずは朝の空気を吸う、これが基本やな。これでその日の温度や湿度なんかを感じるんよ。」 温度計や湿度計、そんなもんよりワシの方が正確だ。 尾二山さんはそう言うと、いたずら小僧のようにニヤリと笑った。 染物と言うのは様々な素材から色素を抽出し、それで布や糸を染める技法である。 方法は様々で、単純に色を移すだけのものから、着物に一枚の名画を描きあげるまで用途は広い。 あらゆる染料、染色法を組み合わせることにより様々な効果を生み出すのだ。 そしてこの尾二山さん、ゆっくりを原料に使うという変わり染めを行っているのだ。 「ゆっくり染めは『二の三』て言うてな、染料を取る『部位』と染色の『目的』が3つずつあるんよ。」 二の三、どうやらそれがゆっくり染めの基礎らしい。 「まずは部位の三な。1つめはゆっくりの飾り、2つめが髪、3つめが餡。ここでの餡てのは餡子だけでなく中身全般を指すからな。 ほんで次が目的の三。1つめは装飾、2つめが忌避、3つめが誘引だわな。主にこれらの組み合わせで作るんよ。 まぁ聞くより見たほうが解りよいだろ。ほな作るん見に行こか。」 私達は工房へと向かった。 「まず染色液から見よか。これはまずゆっくりから飾りと髪を取るんや。」 そこでは多種多様なゆっくり達が次々とハゲ饅頭にされていた。次々と生み出されるハゲ饅頭の恨み言でなんとも賑やかだ。 「こん時、ハゲ散らかしたゆっくりを種別ごとに分けんと解らなくなるから注意な。ほんで饅頭は使う直前まで生かしとく。 これはストレスを溜めたほうがええ色が出るからな。必要だったら痛めつけることもある。」 なるほど、同じ材料でも扱い次第で出来上がりが違ってくるらしい。そこを見極めるのも職人の技と言ったところか。 「ほないっちょこ作りましょか。今回は紫色の染料をつくろうか。まずぱちゅりーの髪を5、ゆゆこの髪を2いれるな。 次にゆかりんの帽子を3、そして最後にまりさの餡を1いれると。少し黒を入れることで全体が引き締まるんな。 まりさ種は腹黒いから深みのあるええ色が出るんよ。」(※単位は匹です) そして禿げたまりさをおもむろに掴むと、「今回は深みを出そうか」そういって両目を抉りはじめた。 「ゆっがあああぁぁぁぁぁぁぁああっぁぁぁぁあぁ!!!??」 一気に抉らずじっくりくり抜いていく、その間もまりさは声をあげ苦痛を訴えている。 「で、たっぷり時間をかけて絞っていくと。」 「おぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ!!!!!」 目玉をくり抜き終えると、尾二山さんはまりさを揉みしごきはじめた。指先が食い込む度に空洞となった目から餡が飛び出す。 このようにほぐしながら取り出すのがコツなのだそうだ。その後まりさは30分ゆっくりし、ようやく死ぬことができた。 そしてそれらを煮込むこと十数分、釜の中には固形物は見えなくなっていた。 「元が饅頭やからね、溶けるのも早いんよ。で、これを濾して完成と。」 そうして出来上がった液体は赤黒く、まるで血の様な色をしていた。 あまりに想像していたものと掛離れていたことから呆気に取られていると 「まぁ見とれって・・・・・ほれ。」 尾二山さんが木綿切れをさっと通すと、それは透き通った美しい紫に染まっていた。 「染料は見た目が濃いになるからな、こうするとよう解るやろ。」 なるほど、実際に染めてみて初めてその美しさが見えてくるわけか。 そのように私たちが感心していると 「なぁ、ちっとこれの匂い嗅いでみ?」 そういって切れを渡してきた。どういうことかと嗅いでみると 「「!!!!!」」 「どや、なかなかええ香りするやろ。」 なんとも爽やかな紫蘇の香りが鼻腔をくすぐったのだ。よくよく嗅ぐとほんのりとした甘さも含まれており、それにより紫蘇本来の鋭さが より生かされていることがわかる。尾二山さん曰く、まりぱちぇはジャスティスなのだそうだ。それくらい相性がいいのだろう。 「見た目だけでなく匂いを楽しめるんも染物のおもしろいとこやな。普通の草木染でも香りは残るんやけど、ことゆっくり染めに関しては おもしろい香りが多い。匂い自身も長持ちするしな。これを利用してふらんやれみりゃを用いることによって、ゆっくりの嫌う匂いを作 り出し、無闇に寄せ付けんようにすることも出来るんや。これは畑を囲む縄や、玄関マットだっったか?何やあのハイカラなんに使うた りするこが多いな。」 なるほど、これが目的の1の装飾と2の忌避であるわけか。すると残す3つめは? 「ああ、それは匂いが移らんように別のとこでやってます。」 そういって私達は次の部屋へと案内された。 「ゆがああああああぁぁぁぁあ!!! ごべんなざいいいいいぃぃぃ!!!」 「もう揺るじでえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 「ひゃっはああぁぁぁぁぁ!! たまんねえええぇぇぇぇ!!! 毎日がお祭りじゃああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 そこには大量のゆっくりと数人の男がいた。 ゆっくり達は総じてボロボロで今にも力尽きんばかり、一方男達は文字通り有頂天、とろけんばかりのヘヴン状態である。 男達は肉体的、精神的にゆっくり達を己の手業や道具、あるいは暴言などあらゆる手練手管を用い虐め抜いていた。 「おー。皆ようやっとるのう。」 「「先生、おはようございます!!」」 尾二山さんを先生と呼ぶこの男達は一体? そう思いあぐねていると、ふと男の1人が語りはじめた。 「こんにちは、記者さんですね?私達はここで誘引用染料を仕込んでいます虐待お兄さんです。」 仕込み・・・?どうにもあの光景が染物へと繋がらない。そこで尾二山さんが口を開いた。 「今から誘引用の染物についての説明するんで、それ聞いてもらったらこの作業の意味がようわかると思います。 まず誘引やけど、これは虫なんかに見られるメスがオスを呼ぶためのホルモンやとか、あるいは光に集まる性質なんかが有名やね。 そんで、ゆっくりにおける最も強力な誘引作用を持つものは容姿の良い美ゆっくりでも、おいしい食べ物でもないんよ。 その正体ってのは死んだ仲間の飾りなんやね。それもうんと苦しんで死んだ、恨み辛みの詰まったものほど強力や。 そこで、ここでは虐待お兄さん達に極限までゆっくりを痛めつけてもろて、それから染料つくっとるんですよ。」 ここまで話してお兄さん 「私達は元々イタズラにゆっくりを虐待して回ってたんですが、ある時先生に出会いましてその才能を生かさないかと声をかけていただき ましてね。それまでは虐待と言うと世間の認識も厳しいことがありまして、まともに見られたことなんてなかったんですよ。ですが先生 は私達をそんなの一切ぬきに正面から見つめて評価してくださったんですよ。」 なるほど、そんな理由があるとは露知らず何という失礼をしてしまったのか。私達は自身の行いに恥ずかしくなり精一杯詫びた。 「いえいえ、無理もないことですから。私も今は仕込みの虐待しかできませんが、いつかは先生のように一人で作品を仕上げるまでになっ て、少しでも世間に我々虐待お兄さん達が理解されるようにがんばっていきますよ!!」 そういって笑うお兄さんの目は熱く輝いていた。私達は再度謝罪し、このことを記事で世の人々に伝えることを約束した。 「ほな纏まったところで実際に染めていきましょか。まず特製の釜を火にかけるんですが、この釜からもう違うんよ。」 そう言われて見た釜は先ほどの部屋のものとは全く違うものであった。 「ぅぅ・・・ぅぅ・・・」 何と釜の正体は特大サイズのゆっくりだったのだ! 「でかいゆっくりの中身を死なん程度に抜いて、外皮を特殊なこんにゃく液で固めたもんや。漆なんかも試してみたけど意外とこんにゃく が一番しっくり来てな。この釜を使うことで込められる怨嗟がより強力なもんになるんよな。そんでここにさっき用意しといたゆっくり 達を入れて、なかなか死なんように加熱していくと。で、流石にそのうち力尽きるんで全部がそうなったらここで初めて水いれるんやな 。後はこいつを濾して完成や。これで染めた布を球状のもんに着けとくだけでおもろいようにゆっくりが集まるんや。罠なんかを使うて 一網打尽にする時や、ドスサイズのを討伐する時に矢にくくって打ち込んで混乱させたり、主に討伐に用いられるな。死んだゆっくりの 飾りをそのまま使うてもこの効果はある、けどここまで凝縮したこれの威力は半端でない。染めた物の強度に依存するから手荒く扱う ても平気やし、雨なんかにも強いしな。」 そうしてしばらく、この部屋が隔離されているのは他の布に匂いが移らんためだ、卸先は主に加工場であるなどの講義が続いた。 そして夕刻 「これで今日の仕事は終いや、長いことおつかれさんな!」 笑いながら尾二山さんは労いの言葉をかけてくれた。 「染物ってのは不思議なもんでな、材料や方法もさることながら作り手が変わってもガラッとさまを変えてまう。 自慢やないけどな、ワシのつくる染物はワシにしか作れんのよ。もちろんさっきのお兄さん達も、あいつらだけの染物持っとる。 もっともワシのがまだまだ上やけどな。まぁそれはともかく、こんなワシの作るもんでも喜んでくれる人がおるわけよ。 その人達に応えるためにも、ワシはまだまだこの仕事を続けていくんよ。ゆっくりて言うおもろい素材も謎が多いしな。 つまり、何が言いたいかって言うと何か夢中になれるもんを見つけて欲しいんよ。もちろん染物で無くてもいい。 何かに夢中になれる、ひた向きになれるってのは幸せなことやからな。そんで、もし染物に興味がわいたなら内に来たらええ。 いつでも誰でも歓迎したるからな。それだけや、長々臭いこと言うてすまんのぉ。」 そう言葉を紡ぐ尾二山さん照れた様子ながらも、その瞳はどこまでも真っ直ぐであった。 最後に私達は握手を交わした。尾二山さんの手は燃えるように熱く、そして力強かった。 今日も一人、己とまっすぐに向き合う男が釜へと向かう。 自身の情熱のため、そしてそんな彼を慕うもの達のために尾二山さんは挑戦し続ける。 染物職人の朝は早い。 終われ 作者・ムクドリ( ゚д゚ )の人 今までに書いちゃったの ゆっくりディグダグ ゆっくりディグダグⅡ みかん キャベツ 和三盆 みかん修正版(温州蜜柑) 水虫 水虫(治療編) このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/250.html
ここは、広大なゆっくり平原。 ゆっくり名所である川に沿って上流へ向かうと、おなじく名所である林に入る。 さらに上流へと足を進めると、そこはもう山だ。 天を突くほどに伸びた木々は、その身に枝葉を思う存分茂らせ、さまざまな木の実をつけている。 数多の木々が作り出す静寂とした空気。 山にある森は知るゆっくりぞ知る、ゆっくり名所であった。 だが、山はゆっくり名所でありつつもゆっくり難所でもある。 なぜか? それは動物の数が下流の平原よりもはるかに多いからだ。 よほどの経験を積んだゆっくりでもなければ、山の森で暮らそうなどという者はいない。 そんな森の中に、 「ゆっくりしていってね!」 という声が漂ってきた。 2匹のゆっくり魔理沙だ。この山の中を飛び跳ね、餌を探している。 この2匹はつがいで、2回目の出産を経て、ようやく産後の肥立ちから回復したのだ。 交尾してから久しぶりの夫婦水入らずの狩りだった。 2匹がやってきたのは、川原だ。 水源にはまだ遠いが、この上流の水はとても綺麗で、きらきらと輝いて見える。 この水を毎日飲んでいれば、それはすくすくと育つだろうと思わせるほどだ。 この川には、ゆっくりを捕食する生き物も集まるが、餌も豊富というリスクに見合うリターンが確実にある場所だった。 しかも、今2匹の目の前には、魚がぴちぴちと跳ねていた。 川の中ではない。地べたで、だ。 2匹のゆっくり魔理沙は天の恵みとばかりにそれに近づいていった。 「おさかなさん!ゆっくりしていってね!」 「ごちそうだね!」 そう言って、わずかに体の大きいほう、年長のゆっくり魔理沙がその魚を口に含んで飲み込んでしまった。 無論、食べようとしているわけではない。巣への運搬のために一端体内に保存しているのだ。 鵜飼いとは違うが、あれを想像してもらえるとわかりやすいだろう。 2匹でびちびちと活きの良い魚を一尾ずつ飲み込んで、 「ゆ!まりさたちのえーよーになってね!」 「あわてないで、ゆっくりしていってね!」 などとご満悦の表情だ。 「あとは、きのみとかとっていこう!」 「そうだね、おさかなさんがいるから、それでじゅうぶんだね!」 来たときよりも重めの体を全力で飛び跳ねさせる2匹。 2回の子作りで、群れも10匹と大きなものになった。 上の四匹の子供達はそろそろ本格的に狩りに連れて行っても良い頃合だろう。 家族で狩りという、夢膨らむ素敵な想像に、2匹は浮かれつつも巣への帰路へとついた。 日が傾き、空が橙色に染まりつつあるころ、森もその様相を刻一刻と変化させていった。 木々の陰はゆっくりと伸びていき、まるで生き物のように森を昏い色で飲み込んでいく。 夕闇が迫りつつあった。 10匹のゆっくり魔理沙たちは、狩りの成果を思う様堪能していた。 年老いた大木の洞のなかをねぐらにしているので、広さは十分にある。 地面に並べられたご馳走は、無数の木の実に、色鮮やかなツツジの花。 そしてメインはなんといってもお魚さんだ。 もう1尾は明日の食料として、奥のほうで笹の葉に包まれている。 「はふはふ、うめぇ!めっちゃうめぇ!おさかなさんおいちい!」 「ゆっくりあじわってね!」 「おちついてゆっくりしてね!」 子供達の旺盛な食欲を温かく見守るのは、2匹の親ゆっくり魔理沙だ。 その表情は母といって差し支えないものだ。 子供達もそんな母たちの見ている中、喧嘩ともいえないようなじゃれ合いをしながら、ご馳走を食べている。 赤らんだ顔に溌剌とした眼差し、張りのよい高い声、あふれる覇気を支える柔軟性に富んだ動き。 その全てが健康状態が良好であることを示している。 さらに、はちきれんばかりに発揮されている元気から、この子らがのびのびと成長していることも存分にうかがえる。 ゆっくりにとって理想の家族像がこれだと言われたら、信じてしまいそうな情景だった。 この家族であれば、どんな苦難が降りかかろうとも、身を挺して子供達を守るに違いない。 そう、親が子を、姉が妹を、何を措いても守るのだろう。 年少のゆっくりは、そんな年長のゆっくりの行動を指標とし、さらに年少のゆっくりに対して同じように接するだろう。 ゆっくりたちにも受け継がれる意志があるのだ。 これは秋に起こったこと。 日々を満腔の幸福で彩っていたゆっくり親子を襲った黒い絶望のお話。 橙色の空が、恐怖に蒼褪めたように暗くなり、とうとう墨を流し込んだようになったころ、ゆっくり親子は巣でゆっくりしていた。 最年少の子供たちはすでに夢の中へと潜りこみ、安らかな寝息を立てている。 4匹がそれぞれお互いの顔を見合わせるような、円陣を組んだような体勢。寝付くまで年少組だけでおしゃべりに興じていたのだ。 そのすぐ隣には、年少組より二回りほど大きな4匹が、これまた円陣を組んでおしゃべりをしている。 年長組だ。 2匹の親ゆっくり魔理沙が狩りに出かけている間、年少組の世話をするのが日々の仕事だった。 むろん、簡単な狩りの真似事ならお手の物で、妹たちが蝶々や飛蝗をねだると、それらを取ってやっていた。 そんな年長組だから、妹たちが寝付いたときから、ぽそぽそと声を潜めてお話をしていた。 けれど、迫る睡魔に抗する術も持たないのか、すでに目がとろんとしていてまぶたも落ちかかっている。 「あしたもゆっくりしようね」 「みんなでゆっくりするよ」 と今日へのお別れを口にしていた。 親ゆっくり魔理沙たちは、8匹の子供たちが、全て寝静まるのを確認してから眠りにつくことにしている。 だから、真夜中の来訪者に気づいたのも、当然のことながら2匹の親ゆっくり魔理沙だった。 巣が揺れる。 地震だろうか?いや、違う。 何かがぶつかっているような音がしている。 それだけではない、みしみしと巨木が軋む音がかすかに聞こえてきている。 「ゆっ?なに?」 「ゆっくりかんがえてもわからないよ!みてくるね!」 「ゆっくりきをつけて!」 勇敢にも大きいほうのゆっくり魔理沙は、入り口から外を確認にしにいった。 片親は8匹のそばに跳ねていく。 まだ眠りの門は破られていないのか、安らかな寝息は乱れていない。 ほっと安堵の表情を浮かべる親ゆっくり魔理沙。 子供らを背に、入り口へと向き直ると、愛するつがいの怒声が聞こえてきた。 「うるさいよ!こどもたちがおきちゃうでしょ!ゆっくりいなくなってね!!」 続く静寂。 迷惑な来訪者は去ったのだろうか? いや、揺れはおさまってはいない。それどころか大きくなっている気配すらある。 何かがあったに違いあるまい。 即座に子供達を起こし始めるゆっくり魔理沙。 寝ぼけ眼をしぱしぱさせて、 「ゆっくりねむたいよ」 と口々に言う子供達。 「ゆっくりできないよ!おきてね!」 「ゆっ!?」 「ゆ゛っ!」 親ゆっくり魔理沙の声色にただならぬものが含まれているのに気づいたのか、姉ゆっくり魔理沙たちはしゃきりと身を持ち直す。 「ゆっくりおきてね!えらいことになるよ!」 「ほらほら、ゆっくりして!」 1匹1匹がそれぞれ年少組をきちんと起こし始める。 ゆっくりとは思えないほどのしっかりとした行動。 親ゆっくりへと連綿と受け継がれた教育がしっかりと根付いていることがうかがえる。 それからいくらもしないうちに、年少組を含めた8匹の子ゆっくり魔理沙たちは完全に覚醒していた。 9匹でそろりそろりと入り口の穴へと向かう。 当然先頭は親ゆっくり魔理沙だ。 その後ろに姉と妹でペアになった、4組の姉妹ゆっくり魔理沙。 親ゆっくり魔理沙は、入り口の穴から体を出しているつがいの後ろ姿を見つけた。 「まりさ!どうしたの?」 問いかけるも返答がない。 訝しんだゆっくり魔理沙が、それに触れるとぐらりと倒れた。 生きた匂いを感じさせないその動きは、9匹に冷たいものを与えた。 倒れたゆっくり魔理沙の体表面からは暗い色の塊が見える。餡子だ。それには顔がなかった。 「ゆ゛っ!?なかみがみえでるよ゛っ!!おがおがないぃいいぃいっ!!ぶりゅっ!!!」 つがいのゆっくり魔理沙が、その体の前半分を削り取られたことを理解すると、絶叫する親ゆっくり魔理沙。 声を上げた瞬間、その体躯に太いものが突き刺さった。 毛むくじゃらのそれは、たやすく親ゆっくり魔理沙を絶命せしめ、そのまま壁に叩きつけた。 「あ゛、あ゛~~~っ!」 「おが~~~ざ~~んっ!!」 それは、甘い匂いのするほう、姉妹ゆっくり魔理沙たちの方へと動き出した。 がりがりという音。荒い息遣い。 これはきっとバケモノだ。がたがたと震え始める遺された8匹。 恐怖にまみれているが、入り口から入って来れないのが救いと思っているのか、逃げようとしていない。 いや、そもそも裏口などと言うものがないのだ。 この巣は天然自然の作り出した洞穴。 ゆっくり魔理沙たちに、地面を掘り進むほどの膂力はない。 そもそもなだらかな地面には噛み付けるような場所も見当たらない。 「ゆっくりでていってね!」 「ゆっくりできないよっ!!」 「どこかへいってね!」 口々に叫ぶ姉妹。それが功を奏したのか、もぞもぞと探るように動いていた毛むくじゃらのバケモノはゆっくりと外へ戻っていった。 そのままじっとしていると、そのバケモノは本当にどこかへ去っていったのか、巣の揺れも鎮まっていた。 自分達の、8つの荒い呼吸音が重く響く。 どれほど経ったのだろう?じっと動かずに入り口を凝視していた8匹がやっと動き出した。 ふたつの遺骸を巣の奥へと運ぶ。 生前、2匹は自分達が何かで死んだら、その体を食べて栄養にしてね!と子供達に言い聞かせていた。 子供達は嫌がりながらもそれを受け入れた。それが埋葬という概念のないゆっくりたちの鎮魂なのだった。 しかし、そんなことはずっと遠い、想像することも出来ないくらいゆっくりと訪れる遠い日のことだと思っていたのだ。 姉ゆっくり魔理沙たちは、涙をかたく堪えながら、ただの大福と化した物言わぬ塊を運ぶ。 それに対して妹ゆっくり魔理沙たちは誰憚ることなく泣いていた。泣けるうちに泣いておいたほうがいい。涙は悲しみを流してくれる。 姉たちは妹たちに、自分達の分まで泣いておくれと、願っていた。 次の日、恐怖の晩が去り、辛い現実を受け入れたのか、静まりかえった巣の中では8匹のゆっくり魔理沙たちが、親の亡骸をむさぼっていた。 味に対する言葉を何も吐かず、食べられる幸福を見知らぬ誰かたちに伝えようともしていない。 ただ、親の死肉を口にしている。 その食事は、おそらく彼らにとって荼毘に付すのと同じ意味を持つ行為なのだろう。 粛々と進む、ゆっくりにあるまじき食事行為。 8匹の姉妹に去来しているのは昨日までの両親の笑顔か。 やがて、亡骸を全て8匹が身に納めると、とたんに騒がしくなる。野生生物は悲しんでばかりいられない。これからを両親の分まで生き延びなければならないのだ。 幸い、親の遺産とも言うべきお魚さんが巣の奥にある。数日はそれだけで乗り切れるだろうが、程なく飢えることは想像に難くない。 早急に狩りを習得しなければいけなかった。 姉妹は皆で協力して狩りをすることに決めた。2匹の姉ゆっくり魔理沙と2匹の妹ゆっくり魔理沙を一組として、二手に分かれていった。 数時間後、巣に集合した8匹の収穫は、木の実が多かったがまずまずというところで、彼らに自信を与えた。 「ゆ!これならまりさたちだけでもくらしていけるね!」 「ゆっゆっ!よかったね!おかーさんたちのきょういくのたまものだね!」 一斉に喜んでいる8匹を襲う揺れ。 「ゆ……っ!!!」 とたんに顔を蒼白に染める。また来たのか?あれが!? みんなで入り口に向かうと、案の定毛むくじゃらのバケモノが暴れていた。 がりがりと地面を掻き毟っていて、それはまるで穴を掘っているようだ。いや、ようだ、ではない、それはまさに穴を掘っているのだ。 それに思い至ったのか身をすくめて震える姉妹たち。両親を昨晩に亡くしたばかりで、もう彼らの命は風前の灯。 勇敢にも震えを抑えてそれに飛び掛る1匹の妹ゆっくり魔理沙。 「もうやめてね!ゆっくりでてってね!ゆっくりできないの!ゆっくりさせてね!」 飛び跳ねて、涙ながらに訴え、それに体当たりをしている。小さいながらも家族を守ろうと必死なその様子は、他の家族たちに勇気を与えた。 一斉に飛び掛る姉妹ゆっくり魔理沙。だが悲しいかな、最初の犠牲者はその勇気を与えた妹ゆっくり魔理沙だった。 「ゆぅ~~、はなしてね!ゆっくりさせてねっ!」 それに捕えられ、引きずり出される。そして外に連れて行かれた。 「まって!いまたすけるよ!!」 「いもーとをはなせっ!」 追いかける姉妹。 「ゆ゛ぅう゛ぅう゛う゛ぅう゛ぅう゛ぅぅっ!!!」 断末魔とそれに続く咀嚼する音。 「う゛わ゛ぁあ゛ぁぁぁっ!!」 妹の仇!とばかりに外に飛び出す姉妹。この毛むくじゃらのバケモノをどうにかしないと、これからもゆっくりできなくなる!そんなのは嫌だ!! 体の奥にある勇気を奮い立たせて次々と外に向かっていく。 「ゆ゛っ!?」 まごうことなき家族の仇を前にしたゆっくり魔理沙たちは、そんな声をあげて硬直していた。 その毛むくじゃらのバケモノは、それの一部に過ぎなかったのだ。 その巨大な獣は現れた甘い匂いのするものをじっくりと見下ろしていた。その口元には餡子とわずかの皮が付着している。 妹が食べられたことを悟っても、ほかのゆっくり魔理沙たちは身動き一つ出来ない。 絶対者の視線に射抜かれて、竦んでいるのだ。 それは熊だった。それも「山の神」と謳われるほどの羆だった。 おおきい。おそらくは400㎏は下らないその巨躯は、ゆっくり魔理沙たちに死を悟らせるのに十分だった。 右腕を振り上げ、振り下ろす。 たったそれだけの行動で、7匹のゆっくり魔理沙たちは次々と吹っ飛び、屠られていった。 何故羆がゆっくりたちを?その理由は川で親ゆっくり魔理沙たちが見つけた魚が、この羆が獲った餌だったからだ。 熊は総じて執着心が強い。 一度自分の物だと定めたものを奪われたら、それを奪い返すために執拗に追いかけてくるのだ。 この家族の運命は、両親が魚を見つけたときに決まっていたのだった。 ここは広大なゆっくり平原。 ありとあらゆるゆっくりが、思う存分ゆっくりできる場所。 しかし山に暮らすゆっくりたちは、1年ともたない。 秋になると、冬眠を控えた熊の餌になるからだ。 万が一、運良く逃れたとしても、冬眠に失敗した「穴持たず」に、冬篭り真っ最中の巣を襲われ、根こそぎ食い尽くされてしまう。 山に入って、春を迎えられるゆっくりは存在しない。また、山から帰ってきたゆっくりもいない。 だから、平原にいるゆっくりたちの何割かは、毎年まだ見ぬ新天地を求めて山へ向かうのだ。 自分達の体から漂う甘く、美味しそうな匂いが、もっとも危険な獣を引き寄せることも知らずに。 終わり。 陸上最強生物の羆さんにお出まし願いました。 参考文献:三毛別羆事件の記事 熊こえ~ 著:Hey!胡乱 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/563.html
俺設定+初書き注意。 ゆっくりが幻想郷に現れて数年、中身が餡子やクリームなどの優秀な甘味料であるゆっくりは村人たちの生活を豊かなものとした。 研究により恐怖を与えるほど美味しい中身になるという結果、虐待お兄さんの手により加工所が設立され、ゆっくりを納品するゆっくりハンターなどの新たな職業が現れた。 幻想郷は変わった。 飢え死にする者もなく、日々のストレスは虐待で晴らし、畑仕事はゆっくりにやらせ、人々はゆっくり安心した生活を送っている。 ただ一つを除いて 様々な恩恵をもたらしたゆっくり出現であるが、一つだけ人々を不快にさせる点があった。 ゆっくりリグルの存在である。 その姿は外の世界のペットボトルの蓋ほどの大きさであるが、這いずるような形であるのにもかかわらず、カサカサと素早く動き生ゴミや糞尿にたかる様は人類誕生から根ざす生理的嫌悪を呼び起させる。 モデルとなった人物には同情せざるをえないが、その中でも一番の特徴はゆっくりできないゆっくりを見つけると卵を産みつけたり集団で襲いかかることである。 ある日労働力として飼っていたゆっくりから皮を突き破り大量のゆっくリグルが這い出してきたという報告もあった。 豪胆なものは素手で握りつぶしたり、スリッパや天狗の新聞紙で叩き潰す者もいるが、不潔なイメージとその際飛び散る中身の黒蜜の処理から敬遠するものがほとんどである。 そんなゆっくリグルに対し、巨大な総合ゆっくり商社と成長した加工所は様々な駆除グッズを販売している。 粘着シートの上に連中の好む玉葱の香りの餌を置き捕えるゆっくりホイホイなどあるが、その中でも人気なのは毒を仕込む逝くバットである。 使い方は至って簡単。 ゆっくり1匹を用意し、加工所で販売している特製の毒を食べさせるのである。誘引剤として毒を食べさせたゆっくりは、放っておくとおよそ一週間ゆっくりできず苦しみもだえ続ける。 そして夜に様子を見に行けば、周辺に潜んでいたゆっくリグルに齧られていく姿を見ることができる。 また毒はゆっくリグルに対しては遅行性であり、集団がゆっくりを完食する十分ほどで効果が現れ、次々ともがき始めキイキイと怨嗟の声を上げながら死んでいくのである。 対象のゆっくリグルの苦しむのが見れる上、誘引剤のゆっくりが悲鳴を上げつつ徐々に齧られ小さくなっていく様子も人気の一つである。 しかし普段匂いのきついものに群がるゆっくリグルはその分嗅覚に優れるため、彼らに見破られないこの毒を開発するのに多くの時間と資金がかかった。 永遠亭の先生が連れてきた、鈴蘭畑を荒らされたという人形が手を貸してくれなかったら完成することはなかったであろう。 だが、これもやがてはやつらに破られる。最新の研究では、ゆっくリグルの環境適応能力の速さは凄まじく、羽を持って空を飛ぶものまで発見された。 毒の効かない個体が現れてもおかしくはない。 我々はこれからも奴らと戦っていかなくてはならない。 終われ めーりんも美味しいネタだが、全く注目されてないリグルきゅんも見て欲しかった。反省はしていない 俺設定 ゆっくりリグル 外皮はきな粉餅で、蛾のような羽持ってんのとか様々な亜種がいる。 個人的にはこいつらに明りに向かう習性持たせて、焚き火に突っ込んできて「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!どうしてゆっぐりできないのお゛お゛お゛お゛!!!」て燃え尽きるの書きたかったけど、台詞が書けないので断念。 その場合もこたんの周りとかひでえことになりそうだ 箇条書きのような文章じゃなく、もっと心に訴えかけるイカれたものが書きてえよ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/324.html
※注意 特になにもしてないゆっくり一家が虐められます! 「ピタゴラゆっくり 装置編」 梅雨も中ごろにになり、久々の晴れ間を見せた幻想の森の中をあるゆっくり一家がお散歩していた。 母親と思われるゆっくりれいむの後ろを10匹ほどの子ゆっくり達がぞろぞろとついて回っている。 久々の晴れ間とあって皆、意気揚々としている。 「ゆっ!ゆっ!ひさしぶりのおそとはきもちぃなー!」 「そうだね!ゆっくりたのしもうねっ!」 「ゆっ!ゆっ!ゆっ~♪」 「おかぁさん、ゆっくりおなかすいたよー、やすもうよー。」 「ゅゅ、ゅっくりちかれたー。」 子ゆっくり達は思い思いにしゃべっている。 「そうだね。そろそろゆっくりしようね。」 一番小さな子ゆっくりが疲れてきているのを確認すると、ちょうど川辺に差し掛かったこともあり、 おかあさんゆっくりはそこで休憩をとることにした。そこか花も咲きほこり、それにつられて虫たちも 集まっており、ゆっくりには最高のゆっくりスポットだった。 「おみずつめたーい!」 「すっきりー!」 川辺で水浴びをするゆっくり。 「はふはふ、うまっ、めっちゃうまコレ!」 「む~しゃ、む~しゃ、しあわせー!」 花や虫を食べるゆっくり。 はしゃぎまわる子ゆっくり達を見守りながら木陰で休むおかあさんゆっくり。 と、そこへガサッゴソッと近くの草むらからなにやら音が聞こえてくる。 「お、なんだゆっくりの家族か。」 草むらから一人の男が出てくる。 「ゆゆ?おじさんだれー?」 「おじさんはゆっくりできるひとー?」 「おじさんゆっくりしていってね!」 男に気づいた子ゆっくり達がテンプレな台詞をいいながら男に近寄っていく。 「ゆっくりちかづいちゃだめだよっ!」 突然、おかあさんゆっくりが叫び子供達を引き止める。 「おかあさんどうしたの?」 「どうちたのー?」 いきなり大声を上げた母親にびっくりしつつも、疑問の声を投げかける子ゆっくり。 このおかあさんゆっくりは人間がどんなものなのか僅かながら知っていた。食べ物やお家 をくれたと思ったら、いきなりひどいことをしてゆっくり達をゆっくりさせてくれないのだ、と 仲間のゆっくりから聞いていたのだ。特に「かこうじょ」の人というものには絶対に近づいたら いけないらしい。 「おじさんかこうじょのひとでしょ!れいむしってるよ、かこうじょのひとはあぶないって!」 木陰から移動し、男から子供達を隠すようにしながら言うおかあさんゆっくり。母親のいつもと 違う気迫に少々おびえながおかあさんゆっくりの陰から男を見上げる子ゆっくり。 「ははっ、僕は加工所の人間なんかじゃないよ、ただのきのこ取りさ。ほら、これが証拠だよ。」 そういって男は自分の背負っている籠の中身をゆっくり達に見せる。確かにその籠にはたくさんの きのこが入っていた。 男の見せたきのこに子供達は一瞬にして食べたそうに瞳を輝かせたが、それでもおかあさんゆっくり は男に疑いの目を向けつつ、子供達を制止する。その様子をみた男は頭をぽりぽりと掻きながら苦笑する。 「おいおい、そんなに怖い顔しないでくれよ。ほら、お近づきのしるし。」 そういいながら男は、自分のズボンのポケットから飴玉やクッキーを取り出し、ゆっくり達の前に置く。 このお菓子はゆっくり達に出会ったとき、籠の中身から気をそらすために男が常に持ち歩いているものだ。 当然、賞味期限などはとっくの昔に過ぎている。 目の前においしそうなものが来たことで、子ゆっくり達は我を忘れ、母親の陰から飛び出し喰らいつく。 「はふはふ、あまっ、うまっ、めっちゃスイーツ!」 「む~しゃ、む~しゃ、とってもしあわせ~。」 「あまーーーーーーーーい!」 「おいち、おいちぃ!」 無我夢中でお菓子に喰らいつく我が子に最初は戸惑いつつも、男がにこにこしながら特に何もしないこと、 子供達にも何もおこらないこと、そして、そういえば自分もお腹すいたなぁ・・・。と、思っていたことから 自分も男の置いたお菓子に恐る恐る口をつける。 「・・・!うまっ!めがっさうめぇ!」 飴玉を口に入れた瞬間、おかあさんゆっくりの頭の中は食欲で一杯になった。 甘いさすがゆっくり甘い。 「どうだい君達、おいしかったかい?」 ゆっくり達がひとしきり食べ終わるのを待ってから尋ねる男。 「おじさん、おいしかったよ!でも、ゆっくりもっとたべたいよ!」 「ゆっくりちょうだい!ゆっくりちょうだい!」 「MOTTO!MOTTO!」 「もっちょ、もっちょー。」 ゆっくり達の反応はまさしくテンプレ乙。といわざる終えないものだった。特に母親ゆっくりは、さっきまで 疑っていたのはどこにいったのか一番声高におかわりを要求してくる。 「それじゃ、おじさんのお家に来るかい?」 「おじさんのおうち?」 「そうだよ。」 「おじさんのおうちにはたべものがいっぱいあるの?」 「そうだよ。しかも食べ物だけじゃなくて君達にぴったりの遊び場もあるし、かなりゆっくりできるところだよ!」 その言葉をきいた瞬間、ゆっくり達は目を今まで以上に目を輝かせ「ゆっくり!ゆっくり!」と飛び跳ねている。 「それじゃ、改めて聞くけどおじさんのお家に来るかい?」 そう男が尋ねると、ゆっくり達は声をそろえて、 「「「「ゆっくりおじさんのおうちにいくよ!」」」」 こうして、1人と11匹の行列は人里へと向けて出発した。 途中、ゆっくりれみりあがゆっくり達を襲うと飛び掛ってきたが、男がそのキレイな顔をふっ飛ばしてやったので、 ゆっくり達はは更に男のことを信用した。 そして― 「ここが、おじさんのお家だよ!」 そういって男が扉を開け、中にゆっくり達を通してやる。 「わぁー、ひろーい!」 「ここならゆっくりできるね!」 「ゆっくりみて!たべものがあるよ!」 「わーい!わーい!ゆっくりしよー!」 部屋に通されたゆっくり達は思い思いの感想を述べながら、目ざとく見つけたお菓子の山に群がっていく。部屋の広 さは、6畳ほどだがゆっくり達には十分すぎる広さだ。そこには大量の(賞味期限切れの)お菓子があり、部屋の隅には 水のみ場が、そして、部屋の中央には滑り台やらトランポリンやらアスレチックやらが合体したものが置かれている。 これらはすべてゆっくりのサイズに合わせて作られている。 「ゆゆっ!すごいねおじさん!ほんとにゆっくりしていっていいの?」 いつの間にかお菓子を満腹になるまで食べ終え、ゆっくり用総合レジャー施設で遊んでいる子供達を優しく見つめながら 男に尋ねるおかあさんゆっくり。 「当然だよ!ここはおじさんがゆっくりのためにゆっくり出来るように作ったんだからね!」 と、親指をグッと立てたながら笑う男。 「おじさんありがとう!じゃあ、れいむもゆっくりするね!」 そういっておかあさんゆっくりは子供達のもとへぽよんぽよんと跳ねていく。それを後ろから見ながら男が、あっ、思いつい たような声を上げる。 「折角おじさんの家に来てもらったんだ、何か歓迎のお料理を作ってあげないとね!」 「ゆゆ?おじさんれいむになにかくれるの?」 「そうさ!おじさんとっておきのおいしいお料理さ!」 その言葉を聞いて喜ぶ母ゆっくり。さらに男は、 「そうだ、そこのちびちゃん達にも手伝ってもらおうかな。」 そういって男は子ゆっくり達の中で一番目と二番目に小さいゆっくりを指差す。 「ゆ?れいむがにゃにかおてちゅだいするのー?」 「すりゅのー?」 この2匹の大きさはまさしく一口サイズといっていい大きさだった。 「そうだよ、おじさんと一緒におかあさんのためにおいしい料理を作って、お母さんを喜ばせてあげよう。」 おかさんのために、おかあさんを喜ばす、といった言葉がまだ幼く、周りに世話をしてもらっている2匹の心に 響いたのか、俄然やる気に満ちた顔になる。他の子ゆっくり達も自分も手伝うと申し出るが、男がこの2匹が一番 いいのさ。といいながら、子ゆっくりを1匹、滑り台から転がしてやる。 「ゆぷぷぷぷぷぷぷぷぷ」 と声をあげながら滑り降りてくる子ゆっくり。その声に驚き、滑り終えて床に突っ伏す子ゆっくりを見守る他ゆっくり 達。と、突然突っ伏していたままのゆっくりが飛び起き、 「ゆー!!これ、とってもたのしいよ!みんなもゆっくりやろうね!」 興奮しきった顔で叫んだゆっくりの声によって我も我もと滑り台のてっぺんへと登り始める。 それを見た男は、じゃ逝こうか。と、ちびゆっくり達を抱え台所のある扉へ向かう。ちび達は滑り台を名残惜しそう 見つめながらも、母の役に立ちたいと目を輝かせながら男の手の中に納まった。 おかあさんゆっくりは幸せだった。こんな広くて食べ物がたくさんあるところでゆっくりできるのが、我が子たちが 楽しそうにしているのを、なによりまだ幼い末娘達が自分のためにおいしいものを作ってくれるのを。 しかし、おかあさんゆっくりは気づかない。この部屋の壁は分厚く、防音仕様になっていることを。おかあさんゆっくり は気づかない、この部屋につながる部屋の扉はすべて鍵付であること。おかあさんゆっくりは気づかない、この部屋には窓 が無いことを。 ―――十数分後 「お・ま・た・せ~☆」 男がそんな声あげるんじゃねー!と言われそうな声色で男が皿を抱えて入ってくる。その顔はなぜかとてもやりきった後の顔だ。 「ゆゆ!おじさんまってたよ!はやくゆっくりちょうだいね!」 などと、微妙に矛盾したこと言うおかあさんゆっくり。 「ふふふ、ごめんごめん。はい、これ!」 そういって男は持っていた皿をゆっくりの前に置く。 「わーすごーい!」 「おいしそう!」 「いいにおい~!」 男の置いた皿の中身をみて、遊びつかれて母親にくっついて休んでいた子ゆっくり達が感想を口にする。 男の持ってきたものは2つの上げゴマ団子だった。丸々としたそれはたっぷりとゴマがまぶされ狐色になるまで油で揚げられている。 団子からはゴマの香りが立ち込める。想像するだけで腹が減ってくる。 それを目の前で見せられたおかあさんゆっくりは待ってました!と言わんばかりにかぶりつこうとする。しかし、直前でふと違和感に 気づき、男に尋ねる。 「ところでおじさん、れいむの赤ちゃん達はどうしたの?」 そう、男を手伝ってもらうといって連れて行かれたちび達がいないのだ。 「ちょっとお団子を作るのに疲れた休んでるだけだよ。今はおねんねしているよ。」 男がそういうと、ならば大丈夫と思ったのかおかあさんゆっくりは揚げゴマ団子にがぶりつく。 「はふ、あつっ、はふ、うめっ、めっちゃうめこれ!!!」 かなり気に入ったのか思わず2個いっぺんに食べるお母さんゆっくり。それを見た男は密かに笑みを浮かべる。 おかあさんゆっくりが団子を両方とも半分ほど食べたころに男がぱんぱんと手をたたく。それにつられておかあさんゆっくりは食事を 止め、母親の食事を羨ましそうに見つめていた子ゆっくり達も男に注目する。 「おかあさんばっかり楽しんでちゃ、君達がかわいそうだから今からおじさんが手品をしてあげるよ!」 「ゆゆ?てじな?」 1匹の子ゆっくりが聞き返す。 「そうだよ、さぁ見ててごらん。」 「ゆゆ??」 そういって、男は1匹の子ゆっくりを手のひらにのせるとどこから取り出したハンカチをかぶせる。 「おじさーんなにもみえないよー!」 「おじさんはやくそれをどけてあげてね!」 ゆっくり達の抗議の声を無視して呪文を唱える男。 「3・・・2・・・1・・・、オマエハモウシンデイルー!」 そういって男が勢い良くハンカチを上へつまみ上げる。 「「「!?!?!?!?」」」 ゆっくり達の顔が驚愕の色に染まる。なんと、さっきまで男の手のひらにいた子ゆっくりは一枚のクッキーになってしまったのである!! 「はいどうぞ、お食べ。」 そういって男は驚き固まっている子ゆっくりにクッキーを差し出す。 「クッキーうめぇ。」 思わずクッキーを食べる子ゆっくり。途端、 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛れいむがれいむをだべだぁぁぁぁぁぁ!!」 1匹の子ゆっくりがそう叫んだことてゆっくりれいむ一家は狂乱状態となった。 「どうじでごんなごどずるのおおおおおおおおおおおおおおお!!」 「おぢさんゆっぐりじねぇぇぇぇ!」 「あがぢゃんがあ!れいむのあがぢゃんがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 一家はそろって男に体当たりをしてくる。男は慌てて、 「ほらほら、すこし落ち着いて!れいむはちゃんとここにいるよ!」 そういって、男は再びハンカチを手のひらにのせると今度ゆっくりとハンカチを除ける。するとそこには1匹の子ゆっくりがいた。何が起 こったのか理解できずきょとんとした目で周りを見渡す。 「よがっだぁ!わだじのあがぢゃんいぎでるー!」 「ゆっぐりじでいこうね!ゆっくりじでいこう!」 子ゆっくりの無事を確認した一家は今度は嬉しさのあまり泣きじゃくる。 「みんなゆっくりしようね!ゆっくりしようね!」 当の子ゆっくりは状況をいまいち飲み込めないのか男の手のひらで楽しそうに飛び跳ねる。 「おじさんひどいよ!いきなりこんなことするなんて!」 狂乱状態から立ち直ったおかあさんゆっくりは男に抗議する。 「はは、ごめんごめん。でも、手品っていうのはこうやって皆を楽しませるものなんだ!」 「もう!今度からはゆっくり気をつけてね!」 おかあさんゆっくりは頬をぷくーと膨らませるが、手品自体が安全なものとわかったので安心したようだ。 そのことが子ゆっくり達に伝わったのか、今度は自分にやってという声が上がり始めた。男はそれを快く受け、皆に代わりばんこで手品をして あげた、不思議で面白いものが見れ、更にはお菓子まで貰える、まさに一石二鳥だった。 全員が手品を体験し終えると、男はゆっくり用総合レジャー施設の前に立つと、滑り台の終端部分に何か引っ掛けるような動作をした後、その 部分が隠れるようにハンカチのカーテンを掛けると、 「さぁ、ここからが本番だよ!今度はこの滑り台から降りてきた子がハンカチにはいると、なんと!餡子入りのお饅頭に変わりま~す!」 その言葉に喜びの声をあげるゆっくり達。続けて男は、 「さらに、今回は3人一緒にこの手品を受けてもらいます!もちろんお饅頭も3つ分!」 その言葉で更に色めき立つゆっくり達。れいむがやる!れいむがやる!と男に擦り寄る。そして男は適当に3匹の子ゆっくりを拾い上げる。 拾い上げられた子ゆっくりは満足げだ。他のゆっくり達はブーブー文句をいっているが、男のみんなちゃんとやってあげるよ。という言葉に それなら大丈夫だね!と言い合った。 「それじゃ、いくよー!」 そういって3匹の子ゆっくり達を立て続けに転がす。子ゆっくり達の顔の向きは皆、外側を向き、横にころんころんといった感じで転がっていく。 この滑り台、滑り台というにはレールに近い。そう、工場などで製品の向きをしっかり固定できるようなレールに。 「ゆっ♪ゆっ♪ゆっ♪ゆっ♪ゆっ♪」 子ゆっくりはご満悦だった。姉妹の誰よりも最初に選ばれたから。それに、この滑り台はとても面白いからだ。目はぐるぐる回ってしまうが、この スピード感は普通にゆっくりしていたら体験できないものだ。そろそろこの滑り台ももうすぐ終わってしまう。そうなるの少し寂しい。でも、おじ さんに頼んだらもう一度させてくれるかもしれない。そうだ、そうに違いない。と、思いながら視界がハンカチに遮られた瞬間、子ゆっくりの体の 中を何かが走り抜けていった。子ゆっくりはそれが何なのかを確認するまもなく意識が暗闇に溶けた。 3匹の子ゆっくりがハンカチのカーテンに吸い込まれたこと確認した男は、ニヤッと笑みを浮かべた後、 「さぁさぁ、みなさんお持ちかねお饅頭だよ!3、2、1!オマエハモウシンデイルー!」 そういって男はハンカチを外すことなく、手でひょいと、子ゆっくり達の前に饅頭を置いてやる。そこには、3つの饅頭がきれいに2等分ずつされていた。 「ゆっくりあま~い!おいしー!」 「うまうまうまうまうー☆」 「おいしいね!」 「おいしいね!」 5匹の子ゆっくり達は目の前に置かれた饅頭にかぶりつく。そして、1個あまった饅頭はおかあさんにあげることにした。 「ゆっゆっ!みんなありがとね!」 子供達の厚意に心から感謝するおかあさんゆっくり。食べ終えた子ゆっくり達は次は自分の番だ!と騒ぎ立てる。 その声を遮るように男は、 「ふふ、まぁ少しまって。実はまだお饅頭は3つ残っているんだよ!」 男の予想外の言葉に子ゆっくり達は喜ぶ。 「ほんと!?はやくちょうだい!」 「ちょうだい!ちょうだい!」 その声に応えるように男はうなづくと、 「はい、ゆっくりお食べ。」 そういって、ハンカチの裏から無造作に投げる。 べちゃっ。という音とともに床に落ちる饅頭らしき物体。慌ててそれに駆け寄る子ゆっくり達。 瞬間、空気が凍る。 床に投げ出されたのはさっきまで自分達と遊んでいた姉妹の顔。しかし、そこにあるのはどこか虚空を見つめて笑う薄っぺらい顔だけだった。 「どうしたんだい?その 残 り の お 饅 頭 を食べないのか?」 やたらお饅頭という言葉を強調する男。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛れいむのあがぢゃんんんんんんんんn!!」 最初に叫んだのはおかあさんゆっくりだった。その声をきいた瞬間再び狂乱が訪れた。 「どうじでぇ!どうじでごんなごどずるのおぉぉぉぉぉおおえろ!!」 「いや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ゆっぐりじだいいい言いいいゆっぐりざぜでえええええええ!!」 「れいむがれいむをだべぢゃっだの゛ぉぉぉぉっぉぉぉお!!!?????」 「ああそうだよ。君達が食べた。」 ゆっくりの質問に親切に応えてあげる男。 「なんでぇええええええなんでえええええええええええ!!!!」 「おうぢがえりだいよおっぉぉぉっぉぉぉおおおおおおお!!」 「今だじであげるからね!今だじであげるからね!ぉえろろっろろろrrゆぶぶぶぶぶ!?!」 「おいおい、吐くなんて勿体ないことするなよ。」 いつのまにかゴム手袋を装備した男は、自分の食べた姉妹を助けようと自ら餡子を吐き出した子ゆっくりの吐しゃ物を手ですくい、そのままその 子ゆっくりの中へ押し込んでやる。しかし、その嘔吐の瞬間を見たことによる貰いゲロ祭りが始まった。 「げぇぇぇぇぇーゆぶぶぶぶぶ!!??」 こっちが吐けば押し戻し。 「オロロロロロロロrゆべべべべべ??!!!」 あっちが吐けば押し戻し。 もはや貰いゲロから男の押し戻す反動で吐き出すため子ゆっくり達の嘔吐は止まらない。男はしっていてなお、あぁ急がし急がし。と、まるで宴会がある 日の巫女のようにつぶやきながら、実に楽しそうな顔で子ゆっくり達の間をいったりきたりする。 母ゆっくりは耐えていた。自分も早く吐き出してしまいたいと思いながらも、目の前の惨状がどうにか精神を保持させていた。 「・・・ど、どうじでごんなごとずるの!?ゆっぐりできないよ!!ゆっぐりおうぢがえる!!」 吐き出しそうな感覚をこらえながら男に怒りをぶつける母ゆっくり。 「どうしてだい?折角ここにはおいしいものがいっぱいあるし、ゆっくりできるじゃないか?」 男は手を止め、何を今更。という風な顔で聞く。 「ゆっくりできないよ!!!おいしいものもいらないよ!!!だがらおうちかえるよ!!!」 「何を言ってるんだい?さっきあんなにおいしい、おいしい、て言って食べてたじゃないか?特にその揚げゴマ団子を。」 男は母ゆっくりの傍らにあったゴマ団子の皿を指差した。それを見て、母ゆっくりは、確かにこれはおいしかったが、だけど・・・とおもって口を開こうとした瞬間、 「そりゃうまいよなぁ~、自分が命の危険を冒してまで交尾した結果できた赤ちゃんだもんなぁ~。 そりゃうまいよなぁ~、自分が一生懸命になって世話して育てた赤ちゃんだもんなぁ~。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゆ?」 男の言葉に思考が止まる。こいつはなにをいっているんだ?なにをこいつはいっているんだ? りかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできない りかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできない りかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできないりかいできない 母ゆっくりが困惑した顔を浮かべるのを見て、やれやれといったように男がゴマ団子を取り、ちょうど食べ残された部分を指の腹で削っていく。 「ほら、これのことだよ!」 満面の笑みでその削れた部分を見せる男。 そこにあったのは2つの顔。母ゆっくりが良く知っている顔。まだまだ幼く世話のかかる子の顔。母のために始めて自分から行動を起こしてくれたこの顔。 しかし、その2つの顔はまるでこの世の地獄のの様な顔をしていた。両目は力いっぱい開かれ白目を向き、何かを堪えるように激しく食いじばられた口、 誰かに助けを求めるように大きく開かれた口。その形相はまるで阿吽力士像のようだった。 「ゆ゛!?!?!?!?!?・・・ゆげろろっろおろろろrゆぶぶうぶぶぶぶ!!!」 「おいおい、だから吐き出すなんてもったいないだろ?」 ついに母ゆっくりの精神は限界を超えた。まるで黒い滝といってもよい量の餡子を吐き出す。 しかし、即座に男によって餡子は元の位置に戻される。本来は姉妹を助けるために餡子を吐き出していたはずの子ゆっくり達は、命の危機を感じたことにより 床にぶちまけられた餡子を再び口に含んでいた。しかし、母の嘔吐と男の作ったゴマ団子の正体を知った瞬間、再び嘔吐し始めた。 「ああもう!そんなに一斉に吐くなよ!!」 ほぼ同時に子ゆっくり達が吐いたので、男はこれ以上吐かれて死なれたこまると、せっせと子ゆっくり達に餡子を戻した後、どこからか取り出した粘着テープで 子ゆっくり達の口をぴったりとくっつけた。ヴーヴーと苦しそうにうなる子ゆっくり達。 「どうじで、どうじでごんなごどずるのぉ!?れいむだぢわるいごとじてないのにぃぃぃぃ!」 脅威の精神力で母ゆっくりは持ち直し、男に抗議の体当たりをする。 「どうしてだって?それは僕が君達を愛しているからだよ!」 体当たりをひょいと避け、男は母ゆっくりを掴むと自分と目が合うように持ち上げる。 「ゆ゛?あい???」 涙とその他もろもろでぐちゃぐちゃになった顔で男に聞き返す母ゆっくり。 「そうさ!愛だよ!!君達が君達の赤ちゃんを愛すように、僕は君達を愛している!!!そう!こんなふうに!!!」ブチィっ! 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」 男の大げさな愛の告白とともにゆっくりの頬が力いっぱい引きちぎられ、母ゆっくりは大声をあげた。 「じないー!れいむばあがぢゃんにごんなごとしなiうぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 母ゆっくりの言葉を遮ったのは、ちぎれた頬から挿入された男の腕だった。 「ああ・・・。その声だ!wwwwその声を聞くたびに僕は満たされる!!wwwwほら、もっとだ、もっと聞かせてくれよ!!wwww」 そういって男がゆっくりに挿入した腕に力を入れようとした瞬間。 pipipipipipi・・・・・・ 幻想郷には似つかわしくないデジタル音。それは男のズボンのポケットからするものだった。 「何だ・・・、もうこんな時間か。仕方ない。」 その音の発信源を停止させた男はつぶやく。 「ごめんなー?ゆっくり。おじさんこれから別の用事をしなきゃいけないんだ。」 そういって男は腕をゆっくりから引き抜くとゆっくりをゆっくりと下ろした。 「ハァhァ・・・おじさん・・・ハァ・・・どっがいぐの・・・?」 息もたえたえな母ゆっくり。 「そうなんだよ。おじさんこれから出かけなきゃいけないんだ。」 この男がここからいなくなる。それを聞いたゆっくりの心に希望の火がともる。 「ゆっ・・・ゆっくりでかけてきてね・・・。ゆっくりかえってこなくていいよ・・・・・・!」 「はは、それじゃ行ってくるよ。また、明日ゆっくりしようね。今夜もうおやすみしようね。」 噛み合わない会話を残しつつ、男は部屋の出口へ向かい、明かりを消した後部屋を後にした。 窓がないこの部屋の電気が消えたことで、部屋は新月の森よりも暗い真の闇の世界となった。急に真っ暗になったことで子供達はパニックを起こし、 うーうーとうなっている声が聞こえたが、おかあさんゆっくりには今はそんなことどうでも良かった。幸い、男によってつけられた傷口は致死量の餡子 が出ることもなく、このまま眠ればいくらか回復するだろう。それよりも今は疲れた・・・。あの子達もそのうちなき疲れて眠るだろう。ここは誰も入って これないゆっくりの楽園。あかちゃんが一杯死んじゃったけど、まだ5人もいるじゃないか、まだまだ大丈夫。そう考えながら母ゆっくりは眠りについた。 あとがき的ななにか あれ、おかしいな?最初は滑り台の部分を小ねた的にやって終わるはずだったのになんでこんなに長いんだ? しかも全然ピタゴラできてないよ?バカなの?しかも続くの? どうする?俺!! 名も無き作者 ゆっくりいじめ系288 ピタゴラゆっくり2